Maybe!×BABY-G タイアップ企画

With BABY-G Vol.54
女優・祷キララ

CULTURE | 2022.07.21

映画『サマーフィルムにのって』や、舞台『夏の砂の上』で頭角を現した、今、最も注目すべき女優、祷キララ（いのり・きらら）。
彼女のバックグラウンドと、女優になるまでの道筋に迫りました。

アメ村で、カルチャー好きの両親に育てられた。

今日着ているのは、父が作った服です。父は、大阪・南堀江にある若者向けカルチャーの発信地「アメ村」で、私が生まれる前から洋服店を営んでいます。高校生くらいからアメ村にいて、住み込みで服を作ったり、DJをやったりしていたみたいです。私が小さい頃は、ロングのドレッドヘアでした（笑）。母は昔、スタイリストを目指していたそうで、両親とも映画とか音楽とかファッションとか、カルチャーにすごく詳しいです。私の名前「キララ」は本名。母の妊娠中に、出産前最後に2人で行ったパーラメント（70年代に活動したアメリカのファンクバンド）のライブの『Flash Light』という曲が良すぎて、「この子の名前はキララやな」となったみたいです。

小2のとき、打ち上げで「キララも映画出たい！」

初めて映画に出たのは小学4年生のときでした。その2年前、両親が「知り合いの監督の新作を観に行くで」って、梅田の映画館に連れて行ってくれて。観たのは柴田剛監督の『青空ポンチ』という作品でした。舞台は夏の香川県で、テーマはバンドで、ジッタリン・ジンの音楽が出てきて…とにかくすべてにワクワクしたんです！映画の世界が本当に楽しそうで、うらやましいと思って。その後、両親を交えて監督と会ったときに、「いいなー、キララも映画出たい！」と言った私に、「じゃあ次の映画でキララ出してあげるよ」と監督が返してくれたことを覚えています。その場の口約束だったけれど、監督は面白がってくれたのかな。本当に役を作っていただいて、映画出演が叶いました。

やりたいことがわからないから「今まで」を続けてみた。

それからは年に数回のペースでお芝居の仕事をしていましたが、将来も女優をやりたいのかどうか、自分のなかで答えが出ない時期が続きました。高校生のときが一番悩んだかな。私は公立の進学校に通っていたので、大学に行かない選択肢はありえないという雰囲気で、将来の夢が決まっている人も多くて。でも、自分には好きなことが浅く広くあるだけだったから、本当にやりたいことってなんだろう、なんでわからないんだろう、私だけおかしいのかなって思ってました。そんなタイミングで、たまたま、事務所の方に声をかけていただいたんです。正直、女優を続けたいかどうかはわからなかったけれど、これからやりたいことがわからないから、今までやってきたことをやってみようと心を決めて、上京しました。やっていくなかで、お芝居ってめっちゃ面白い！って自分の中でピンと来たタイミングがあって、今はもっと頑張りたい気持ちが膨らんでいます。

憧れは「桃井かおり」「安藤サクラ」「イッセー尾形」

憧れの方はたくさんいます。でも、特別なのは、女優だと、桃井かおりさんと安藤サクラさんです。お芝居で惹かれたのが第一なのですが、ご本人の生き方や、自然体の姿がすごく魅力的です。インタビューで選ぶ言葉、纏っている服とか、メディアで見える部分だけかもしれないですけど、にじみ出るかっこよさがあると思います。俳優だと、イッセー尾形さん。エドワード・ヤン監督の『ヤンヤン夏の想い出』を、再上映していた映画館で観たことがあるのですが、胡散臭い日本人の役を演じていたイッセーさんの妙な色気がずっと忘れられなくて…！今、一番、舞台で見たい俳優さんです。