ワンアンドオンリーを探る、MY G-SHOCK。
Case09 藤原裕
BerBerJin ディレクター
The only one watch in this world


自分の好みカラーリングで〈G-SHOCK〉がつくれる「MY G-SHOCK」は、定番の5600型をベースに、文字板、ベゼル、ベルト、ベルトループ、バックルの配色を自分で決められるというもの。今回このサービスにチャレンジするのは、ヴィンテージ・シーンにおける最重要人物といっても過言ではない「ベルベルジン」のディレクター・藤原裕さん。出来上がったのは、ヴィンテージデニムアドバイザーという肩書きを持つ、藤原さんらしい〈G-SHOCK〉でした。完成までの一部始終をここにお届けします。

Profile
藤原裕 / BerBerJin ディレクター
1977年生まれ。原宿の老舗古着屋「ベルベルジン」のディレクター。ヴィンテージへの造詣の深さは業界随一で、その知識を武器にヴィンテージデニムアドバイザーという肩書きを持つ。最近は〈ニューマニュアル(New Manual)〉のブランドディレクターにも就任。一方で、著書『教養としてのデニム ⽇本⼈が⾒出したヴィンテージの価値』も刊行するなど、多岐に渡って活躍中。
Instagram : @yuttan1977
定番をずっとつくり続けるところに強さと信頼感を覚える。
「MY G-SHOCK」は、自分の好きなカラーリングで〈G-SHOCK〉をつくれる夢のようなカスタマイズサービス。これまでに数多くのインラインモデルやコラボモデルをリリースしてきましたが、そのどれとも異なる、自分のためだけの1本をつくれるという画期的なものなのです。

ブランドの初号機の系譜を受け継ぐ「DWE-5610」をベースに、文字板、ベゼル、ベルト、ベルトループ、そしてバックルの配色を決めることができます。
「90年代、〈G-SHOCK〉を手に入れるために、渋谷にある家電量販店に徹夜で並んだことがありますね(笑)」

笑いながらそんなエピソードを語ってくれたのは、原宿にあるヴィンテージショップ「ベルベルジン」のディレクター・藤原裕さんです。
「はじめて手に入れたのはたしか高校2年生のときだったと思います。映画『スピード』でキアヌ・リーヴスがつけていた通称“スピード・モデル”は、当時既にプレミアがついていました。ぼくはあれを見て〈G-SHOCK〉に憧れ、その後継モデルを手にしたんです」
「MY G-SHOCK」でカスタムできるのも“スピード・モデル”とおなじ系譜の「DWE-5610」。スクエアなデザインが特徴的なブランドの定番モデルです。藤原さんはこのモデルが特にお気に入りなのだとか。
「すごくシンプルで使いやすいじゃないですか。腕に巻いたとき、この5600シリーズがいちばんしっくりくるんです」

これまでにたくさんの5600シリーズのモデルを手にしてきた藤原さん。今回その中でもとくにお気に入りのアイテムを持ってきてもらいました。
「左側のミリタリーグリーンのが〈ネクサスセブン〉とのコラボモデル、中央のレザーベルトのやつが『バーニーズニューヨーク』とのコラボモデル、そして右側が〈N.ハリウッド〉とのコラボモデルですね。同じ5600シリーズでも、ちょっとしたデザインや色味の違いだけで腕に巻いたときの印象が変わる。それが〈G-SHOCK〉のすごいところですよね。その日のコーディネートや気分によってつけるアイテムを変えています」
そうしたデザインの魅力に加え、藤原さんは〈G-SHOCK〉に対するイメージについても語ってくれました。曰く、「最強の時計」であると。

「デザインがかっこいいのはもちろん、やっぱりタフでガンガン使える。だから最強の時計なんですよ。普段ぼくはヴィンテージアイテムを扱う仕事をしていますが、海外へ買い付けにいくこともあるので、そういうときに〈G-SHOCK〉をつけていると安心するし、すごく重宝するんです。古着を眺めていると、普遍的で変わらないものの魅力を痛感することがよくあるんですが、〈G-SHOCK〉も同じで、定番をずっとつくり続けるところに強さと信頼感を覚えますね」

いろいろ組み合わせていると、どれもよく見えてきて決めきれない(笑)。
〈G-SHOCK〉に対するアツい想いを語ってくれた藤原さん。視線はテーブルにある「MY G-SHOCK」のパーツに向けられます。さっそく、カスタマイズにチャレンジしてもらいましょう。

「じつは昨日、どんな時計をつくろうか、家族とシュミレーションしてきたんですよ。やっぱりぼくらしくデニムに合う1本をつくりたいなと」
そんなことを話しながら手に取ったのは白い文字板と、クリアのベゼル。持参してくれた私物の〈G-SHOCK〉とは対照的な組み合わせです。


「せっかくやるなら色を混ぜたくて。落ち着いたダークトーンの〈G-SHOCK〉ばかり持っているので、今回はそうではない派手なものをつくりたいですね」
迷いなく文字板とベゼルの組み合わせを決めた藤原さん。それをベースにベルトの色を決めていきますが、ここからカスタマイズが難航。何色のベルトにしようか迷っている様子です。


「デニムに合う色だとやっぱりネイビーかなと思うんですけど、なんだかしっくりこないんですよね。むかしの『イルカ・クジラモデル』みたいにクリアでグラデーションにするのもおもしろそうだな」

「ステッチの色を拾って、あえてイエローを大々的に持ってくるのもよさそう。ん~迷いますね(笑)。シュミレーション通りにいかないなぁ~」
そんなこと言いながら、いろんなベルトを交互に組み合わせてベストを探ります。どうやら最終的にイエローとネイビーで決めかねている様子。


「いろいろ組み合わせているとどれもよく見えてきて、決められないですね(笑)」


「やっぱりイエローで攻めようかな。デニムのステッチカラーということで。ネイビーだと全体像が暗くなってしまうし、派手な1本をつくりたかったというのもあるので」
ということで、藤原さんの1本が完成。ベルトループにはネイビー、バックルにはシルバーをセレクトしています。



「デニムカラーと逆のイメージで、ステッチをフィーチャーした1本にしました。ベルトループはデニムのネイビーをイメージしています。シルバーのブレスレットや指輪をつけることが多いから、それに合うように文字板とベゼルは白とクリアにしてなじむようにしているのもポイントですね。バックルはゴールドにしようか悩んだんだけど、おなじ理由でシルバーにしてなじませてます。なんか夏っぽい1本ができあがったな。我ながらいいのができました(笑)」

「ちなみに、もう1本つくるとしたら?」というこちらの問いかけに対して、藤原さんはすかさずパーツを取り、こんな組み合わせも提案してくれました。
「さっき話したように『イルカ・クジラモデル』を意識して、クリアのグラデーションもおもしろいかもしれない。シルバーアクセのようにつけられそうじゃないですか(笑)?」

家族とのコミュニケーションツールになるところもいい。
悩みに悩んだ結果、攻めのイエローで夏らしく明るい1本を完成させた藤原さん。「MY G-SHOCK」を体験して、どんなことを思ったのでしょうか?

「やっぱり迷うけど、選ぶのが楽しかったですね。インラインでもいろんなカラーリングがリリースされてきた中で、まったく同じものになることって滅多にないと思うんですよ。これだけの色のバリエーションがあれば、人と被らないものができるのかなと。すごくいいサービスだと思うし、若い世代の人たちも楽しめますよね。もちろん、90年代の〈G-SHOCK〉ブームを体験したぼくら世代も遊んでいる気分でつくれますし」

「それとぼくの場合、事前シミュレーションを子供たちと一緒にやったんです。そうして『MY G-SHOCK』が家族とのコミュニケーションツールになるのもいいですよね。自分がそうだったように、子供たちにとってはじめての時計は〈G-SHOCK〉がいいなぁなんて思ったり。息子はもうすでにファースト〈G-SHOCK〉を手に入れているんですが、今回つくったやつは娘に受け継いでもらいたくて、ちょっと派手にしたというのもあるんです」


デニムに合わせる1本としてカスタムした一方、「ランニング中もコレをつけたい」と藤原さんは話します。
「ランニングウェアが全身黒なんですよ。唯一、ランニング中にスマホを入れるケースが蛍光イエローなんですけど、それに合うんじゃないかと。ダークコーデの中にこういう明るいアイテムがあると、おしゃれしている感じがして気分が上がりそうじゃないですか?」

「それとぼくは地元が高知なんですけど、夏休みに帰省したときに海へ行ったり、川遊びするときにつけるのもいいかなと思ってます。〈G-SHOCK〉なので、そのまま水の中へ飛び込んでも大丈夫だから。とくにそういうアクティビティのときは明るい色の時計のほうが映えますし。実は自分が持っている海パンも黒なので…。そうゆう癖を治していきたいですね。来年はこの時計に合わせてイエローの海パンになってたりして(笑)」

藤原さんがカスタムした1本は、幅の広さに魅力があります。自身のアイコンである“デニム”をテーマに、ワードローブに合う時計としての側面。さらには自身の殻を破るように派手なカスタマイズをおこない、さまざまなアクティビティでも映えるという側面も。日常でも、非日常でも、さまざまなシーンで使えるアイテムを見事完成させた藤原さんに、「MY G-SHOCK」でお気に入りの1本をつくるためのアドバイスを最後にもらいました。
「自分の持っている服だとか、どういうシチュエーションでつけたいかっていうのをイメージすると方向性が定まってくると思います。あと、せっかくなら派手な1本をつくってみてはいかがでしょうか。オーソドックスなものももちろん魅力的なんですけど、ぼくも今回こういう機会をいただいて、そうゆうカスタマイズにチャレンジしたので。そうした挑戦によってまた新しい発見ができるといいですよね」


DWE-5610-SP9
¥15,950-
Photo : Kazunobu Yamada
Text : Yuichiro Tsuji
Edit :Yosuke Ishii