
New MAKI-E “OCW-S5000MB”
過去と未来が交差する、新たな美の世界観
テクノロジーを駆使した現代のアナログ時計“OCEANUS”の時計づくりとは、常に先進性を追い求め、革新的であること。それを体現するために昨今注目しているのが、古来より脈々と受け継がれ、OCEANUSの対極の存在とも言える伝統工芸。最先端なものを提示しながら、その時代の要求にアップデートしていく伝統的な技法や匠の技に、日本のモノづくりの真髄を捉えたのである。
これまでガラス工芸「江戸切子」や藍染め「阿波藍」などとコラボレーションすることで話題を呼んできたが、今回1,200年以上の歴史を持つ漆芸の伝統技法「蒔絵(まきえ)」を用いた、第二弾となるManta『OCW-S5000MB』が発売されることになった。

Bluetooth®搭載電波ソーラー『OCW-S5000MB-1AJF』 ¥275,000(税込) 世界限定1,200本
そもそも蒔絵とは器の表面に漆で絵を描き、その漆が乾く前に金属粉を蒔きつけて模様をあらわす技法のこと。開発に協力いただいたのは、京都で100年以上続く蒔絵工房「下出蒔絵司所」三代目の伝統工芸士・下出祐太郎氏。昨年発売された第一弾は下出氏の代表作「悠久のささやき」をインスパイアし、穏やかな水の煌めきをプラチナ蒔絵で表現したが、今回の第二弾ではさらにOCEANUSの世界観が感じられる蒔絵の表現を追求するため、下出氏とOCEANUSのデザイナーが協議。デザインテーマを「しぶき -SHI・BU・KI-」と設定し、流れのある水の躍動感を打ち出した。
プラチナ蒔絵が描く、クラシカルな前衛性
今回の蒔絵デザインは、下出氏命名による「蒔きぼかし抜描瀧文(まきぼかしぬきがきたきもん)」。プラチナ粉の絶妙な散布密度による“蒔きぼかし”と、個体が付着しない部分をあえて作る“抜描”という二つの技法を組み合わせて、滝の水が勢いよく落ち、しぶきが舞っている様を表現している。使用したプラチナ粉は、丸粉を潰して小判型にした“平目粉”で、第一弾の2号より細かい1号サイズを選択。下出氏がOCEANUSのマザーファクトリー・山形カシオに出向き、一つひとつ丁寧に手作業で施したその大胆かつ緻密な紋様は、同じものが二つとない一点物ならではの独創的な情景を描き出している。

そんな蒔絵をベゼルに施すため、今回独自の工程を考案。まずは美しく磨かれたサファイアガラスベゼルの裏面に、新開発の透過するグラデーション蒸着(見た目は透明)をかけ、そこに蒔絵を付着させる役割の透明印刷をおこなった上で、下出氏が蒔絵を施している。最後に黒印刷をすることで、透明だった蒸着の色が青から黒へ変化するOCEANUSブルーとなり、その中で煌めく蒔絵が現れてくるのだ。このOCEANUSブルーを表現しつつプラチナ蒔絵の輝きも綺麗に見せるという、相反する難しい課題を度重なる試作の末に実現させた。そしてグラデーション蒸着は下出氏のアイデアにより、2時方向に青・8時方向に黒と、色が移り変わる方向をあえて45度傾けることで、蒔絵による水のしぶきの表情に動きを与え、流れ落ちる水の躍動感を生み出している。さらにサファイアリングの内側を磨き、蒔絵の煌めきが立体的に反射する美しい仕上げになっている。
幽玄な滝を彷彿させる白蝶貝文字板
文字板には下出氏監修のもと、独自に開発した技術で白蝶貝を細工。漆器などの伝統工芸品に用いられる加飾「螺鈿(らでん:貝殻の内側にある虹色に輝く美しい部分を薄く磨き、柄や模様を表現する技法)」に着想を得て、鏡面仕上げで発色を高めた白蝶貝の上にスリット状の隙間を空けた漆黒ミラーの文字板を重ねている。白蝶貝を滝に見立て、不規則な縦の線にレイアウトすることで、輝きを放ちながら流れ落ちる水の躍動感を色濃く演出した。

また蒔絵仕上げのサファイアガラスリングと一体感を出すため、チタニウムベゼルにDLCコーティングを施し、ケースとバンドにはチタンカーバイト処理で耐摩耗性と発色を向上。さらにケースとバンドの一部はザラツ研磨で平滑度の高い美しい面に仕上げるなど、細部に至るまでOCEANUSならではのこだわりが詰め込まれている。
匠の技と感性が息づいた下出氏の熟練の技とカシオ独自の先進技術で、蒔絵をモダンに仕上げた『OCW-S5000MB』。高品位かつ独創的な至高の逸品は、きっと着ける人のライフスタイルを魅力的に引き立ててくれることであろう。OCEANUSが追求する先進の機能美と、匠の技を尽くした蒔絵。呼応し合う2つのジャパンプライドがエレガントに融合した“新たな美の世界観”が、今ここに誕生した。

Text: Tatsuya Nakamura | Photography: Masashi Nagao
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