
ハンディターミナル基本用語集
ハンディターミナル業界関連用語

ハンディターミナル機器編

ハンディターミナル
ハンディターミナルとは、データの収集や送受信を手軽に行える携帯情報端末のことです。商品や段ボール、棚に付いたバーコードや2次元コードを読み取る機能、数量などの⼊⼒機能、商品情報の画⾯表⽰機能、読み取ったデータの送受信機能があり、さまざまな業界・シーンで使⽤されています。

スキャナ
業務⽤専⽤端末として設計されているハンディターミナルは、スキャナの性能がスマホよりもはるかに⾼性能になります。⼿に持ってスキャニングするので、スキャンのしやすさが⼤きなポイントです。例えば、バーコードを狙いやすいようなスキャナの⾓度になっているか、また数多くのスキャニング動作でも⼿の疲れが少ないかなども重要な要素となっています。

バーコードの種類
バーコードの種類は、業界により、様々な形式のバーコードが活用されています。日本でよく見る例としては、店頭の商品箱に印刷されているJANコードが有名です。他にも下記のような様々なバーコードが使われています。
UPC-A/UPC-E/EAN8(JAN8)/EAN13(JAN13)/ Codabar(NW-7)/Code39/Interleaved2of5(ITF)/ MSI/ISBT/Code93/Code128/GS1-128(EAN128)/ Code32/GS1 DataBar Omnidirectional (RSS-14)/ GS1 DataBar Truncated (RSS-14)/GS1 DataBar Limited (RSS Limited)/GS1 DataBar Expanded (RSS Expanded)/

2次元コードの種類
2次元コードの種類は、大きく分けてスタック型とマトリックス型があります。よく見る例としては、マトリックス型のQRコードが、日本ではよく利用されています。
スタック型コード
PDF417/Micro PDF/Composite/Codablock F/GS1 DataBar Stacked Omnidirectional (RSS-14 Stacked)/ GS1 DataBar Expanded Stacked (RSS Expanted Stacked)/ GS1 DataBar Stacked (RSS-14 Stacked)/ GS1 DataBar Truncated
2次元コード
Aztec/DataMatrix/Maxicode/QR Code/Micro QR/HanXin Code

キー
ハンディターミナルのキーの種類としては、テンキー(アルファベットキー)、CLRキー、エンターキー、カーソルキー、電源キー、ファンクションキー等があります。キーは、頻繁に業務で使用されるため、様々なノウハウを持って作られています。例えば、同じ数値ボタンを押し続けると、ボタンの表面が摩耗するため数値が消えないような工夫や、確実に押したとわかるクリック感など、独自の設計が施されています。ドーム形状でキーの識別性を向上したり、手袋着用時などでも入力しやすいことも重要です。各キーへの機能割り当てができて、ユーザーが使いやすいようカスタム可能できるモデルもあります。

トリガーキー
バーコードをスキャンする時に使用するキーです。キーの中でも一番使用頻度が高いキーになるため、押しやすい配置も重要です。左右のボタンや、中央ボタン、中には、背面の位置にあり、狙いやすく使いやすい位置にあるトリガーキーもあります。様々な場所にあることで、利き手や持ち方に左右されず、使いやすい位置にあることが重要です。

OS
長らくハンディターミナルの主流OSは、Windows Embedded CE系OSでした。しかし、数多くの端末に採用されているWindows Embedded Compact 7についても、2021年4月にサポート終了、2026年2月でEOLを迎えることとなります。現在、Windows CE系OSを搭載した端末をご利用の場合、Androidなどの他OS端末にリプレイスしなければならなくなります。その際、OSを変更することによるアプリケーションの移植開発も必須となります。
通信機能
ハンディターミナルは、上位システムへの入力端末の位置付けの製品のため、複数の通信機能が搭載されています。搭載されている通信機能は、無線LAN、Bluetooth、ワイヤレスWANなどがあります。ハンディターミナルで読み込んだデータを素早く上位システムへ通信するため、使用場所に適した通信手段を選択することが重要です。

電源
ハンディターミナルで使用されている電源は、ほとんどがリチウムイオン充電池です。電池切れを起こすと業務が止まってしまうため、長時間使用できることやバッテリー切れでもすぐ電池交換できるなども、重要なポイントです。また、ハンディターミナル側に電池の買い替え時期がわかるバッテリー容量状態通知、電池を長持ちさせるエコ充電機能を搭載されているモデルであれば、さらに効率的な使用ができます。

耐環境性能
ハンディターミナルは、様々な場所で手に持って使用するため、落下などのリスクが常にあります。そのため、設計時に壊れないような様々な工夫があり、過酷な試験も行っています。例えば、3mの高さからコンクリートへ落とす落下試験や、ごつごつ当たるようなタンブリング試験などです。また、屋外でも使われることを想定して、防水試験なども実施されています。

クレードル・充電器
ハンディターミナルは、通信と充電のためのクレードルをオプションで用意されているモデルもあります。クレードルによっては、ハンディターミナルを充電するだけではなくUSBや、LANでPCと接続できるモデルもあります。さらに、バッテリーだけ充電できるモデルもあります。複数バッテリー充電できる充電器も、使用頻度によっては必須のオプションになります。

携帯プリンタ
ハンディターミナルからのデータをすぐ印字したいという用途向けに携帯プリンタを使用することがあります。例えば、店頭における値引きラベルや、物流における荷札ラベルなどです。ハンディターミナルと携帯プリンタの接続には、Bluetoothや、無線LANが使用されます。

ハンドベルト
ハンディターミナルは、手に持つため、落とすリスクがあります。それを解消する一つの手段がハンドベルトです。ハンディターミナルの背面に装着できるように設計されていて、ホールド感が増すことにより、落下を防ぎます。

ネットワーク/システム編

ワイヤレスLAN(無線LAN)
ワイヤレスLAN(無線LAN)は、ハンディターミナルの通信手段の一つです。構内にワイヤレスLANのルーターを設置して、上位システムと通信できるようになります。種類としては、IEEE802.11a/b/g/n/ac等があります。
IEEE802.11※
※IEEE802.11は、ワイヤレスLANの規格です。それぞれ、下記のような特徴があります。
規格名称
IEEE802.11a
IEEE802.11b
IEEE802.11g
IEEE802.11n
IEEE802.11ac
周波数帯域
5GHz帯
2.4GHz帯
2.4GHz帯
2.4/5GHz帯
5GHz帯
伝送速度
54Mbps
11Mbps
54Mbps
600Mbps
6.93Gbps
ワイヤレスWAN
無線通信による広域データ通信ネットワーク。また、そのようなネットワークに接続できる通信サービスのことです。一般的には携帯電話技術を基盤とする無線データ通信ネットワークのことを意味します。ハンディターミナルにおいても、無線LANで対応できない場所での使用や、トラックなどのドライバー端末には、ワイヤレスWANを搭載したハンディターミナルの利用率が高まっています。
GPS
GPSは、グローバル・ポジショニング・システムのことで、アメリカ合衆国によって運用される衛星測位システムです。近年ハンディターミナルにおいても、このGPS機能を搭載するモデルがあり、地図ソリューションと連携して様々なサービスに対応しています。
WPA
WPA(Wi-Fi Protected Access)は、Wi-Fiの通信内容を傍受されないように暗号化するセキュリティ規格です。以前は、WEPが広く使われていましたが、第三者に簡単に解読されてしまうという大きな問題が発覚したため、安全にWi-Fiで通信を行うためのセキュリティ規格として生まれました。ハンディターミナルにおいても、無線LANを搭載するモデルは、WPA3に対応しているモデルもあります。
Bluetooth
Bluetoothとは、無線通信の規格のひとつで、対応した機器同士は、無線でデータをやり取りできます。有効範囲はおよそ10m以内で、国際標準規格のため、対応機器なら各国のどんな端末同士でも接続可能です。Bluetooth搭載のハンディターミナルでは、同じくBluetooth搭載の携帯プリンタなどと接続して、値引きラベルの発行などの用途に使用されています。
NFC
NFC(near field communication)とは、近距離無線通信技術のことで、NFCに対応した機種同士を、近距離で通信を行う仕組みです。交通機関で使用するICカードがよくある例で、ハンディターミナルをはじめ、幅広い機器で活用されています。
アクセスポイントとルーター
アクセスポイントは、ルーターに接続して、機種とルーターを無線でつなぐために利用する機器のことです。アクセスポイントでは、ルーターからアクセスポイントまでの有線LANでの接続を、無線LANに変換して、無線の電波でルーターとデバイスを接続するための橋渡しをしています。
ルーターは、複数台の機器をインターネットに接続するためにモデムに接続する機器のことです。最近では、アクセスポイントとルーターの両方の機能を持った無線LANルーターと呼ばれる機器が、一般的になっています。ハンディターミナルを構内で使用する時は、この無線LANルーターを通じて、データの送受信を行っています。
ハンドオーバー
ハンドオーバーとは、無線LAN搭載のハンディターミナルが、通信する基地局やアクセスポイントを移動中に切り替えることです。アクセスポイントが作り出す電波の到達範囲ぎりぎりに端末が移動した場合や、その他の要因で電波が弱くなった場合、そのままでは通信できなくなりますので、電波が強い別のアクセスポイントに切り替えます。
サイトサーベイ
サイトサーベイとは、無線LAN搭載ハンディターミナルの通信範囲を調べる電波調査のことです。適切なアクセスポイントの設置数・設置位置・電波強度の決定、またチャネル設計のために行い、専用のツールを使用して電波状態を可視化します。
リッチクライアント
リッチクライアントは、ユーザーインターフェイスの見栄えや操作性が豊かさを実現したWebアプリケーションや、ソフトウェアのことです。ハンディターミナルでよく使用されているリッチクライアントは、ソフトウェア方式のBiz/Browserが、代表例です。
遠隔管理
遠隔管理とは、手元にない遠隔地で使用しているハンディターミナルを、手元のPCで監視したり、制御することです。ハンディターミナルでの遠隔管理の例では、PCからのリモート操作で、ハンディターミナルのトラブルを解消したり、決められた期日に一斉にハンディターミナルのソフトウェアのバージョンアップしたりなど、現地にいかなくても、ハンディターミナルの管理ができます。

キッティング
キッティングとは、ハンディターミナルに各種設定やソフトウェアのインストールなどを行う作業全般のことです。セットアップやインストールとの違いは、エンドユーザーがすぐに業務に使用できる状態にまで準備するということです。導入台数が大規模になると、一台一台手作業でキッティングすると、キッティングにかなりの労力と時間がかかりますので、キッティングサービスや、キッティングツールを利用するのもポイントです。

キッティングツール例:「カシオ ファーストキッティング」
作成したキッティングファイルを、わずか2タッチの簡単操作で端末にインストール。OS更新、端末設定、ネットワーク設定、アプリ配置などを自動で行います。キッティング完了後は、画面に表示されたQRコードを読み込むことで、設定結果をPCに取り込むことができます。

ハンディターミナル業界関連用語

RFID
RFIDは、Radio Frequency Identificationの略称で、ICタグとRFIDリーダーの間で電磁波や電波を送受信し、非接触でICタグの情報を読んだり書き換えたりするシステムの総称のことです。自動認識技術の1つで、さまざまな業界で導入が進んでいます。
これまで袋などに入っている商品に付いたタグをバーコードで読み取る際には、商品タグを手にとって1つずつスキャンする必要がありましたが、RFIDは、バーコードリーダーとは違い、複数の商品タグを一括スキャンすることが可能で、ダンボール箱の中に入っている商品や、手の届かない棚の商品のタグも読めるため、大幅な作業時間の短縮と正確なチェックを実現します。
OCR
OCRとは、Optical Character Reader(またはRecognition)の略称で、画像データのテキストの文字や数字部分を認識し、文字データに変換する光学文字認識機能です。 例えば、紙文書をスキャナーで読み込み、書かれている文字を認識してデジタル化する技術です。
ハンディターミナルでも、テキストや、数値を読み取るOCR機能を搭載したモデルもあります。
音声認識
音声認識とは、人が話した言葉を認識して、データ化する技術です。ハンディターミナルにおいても、この音声認識機能を搭載したモデルもあり、バーコードを読み取るだけでなく、ハンディターミナルに話すことでアプリケーションを動作させて、業務の効率化を図ります。
ミドルウェア
ミドルウェアとは、業務遂行に必要な機能を提供するアプリケーションとコンピュータの基本機能を提供するOSの間に位置し、さまざまな働きをするソフトウェアのことです。例えば、ハンディターミナル用のアプリケーションは、通常OSに合わせて設計されますが、ミドルウェアを介することで、異なるOS上でアプリケーションを動作させたりすることが可能になります。
MDM
MDMとはMobile Device Managementの略称で、モバイル端末管理を意味します。 ハンディターミナルやスマートフォンなどのモバイル端末を、一元的に監視・管理する手法やツールのことで、主な機能としてセキュリティ対策や、リモート遠隔操作、アプリの一斉配信などがあります。
WMS
WMSとはWarehouse Management Systemの略称で、倉庫に商品を入荷し、出荷するまでの商品管理ができるシステムです。 ハンディターミナルを活用し、バーコードを利用した在庫管理やロケーション管理、ラベルおよび帳票の発行といった機能により、倉庫内作業の効率化に役立ちます。WMSは特定の企業に偏らず、製造業、小売・卸業、EC通販等と幅広い企業・サービス業で導入されています。
マテハン
マテハンとは物流や製造の現場で使われる言葉で、マテリアルハンドリングの略語です。 マテリアルハンドリングとは、材料や製品などのモノを運搬する作業一般のことで、 製造に用いる材料や部品、搬送、取付け、取出し、仕分けなどの作業とされています。
ただし、一般的に使用する場合は、マテハン機器のことを指すことも多く、自動搬送ロボットや自動仕分け機、 さらに、台車やハンドフォークリフトのような人力で扱う機器もマテハン機器の一種と認識されています。
フィジカルインターネット
フィジカルインターネットは、インターネット通信における、データの塊をパケットとして定義し、パケットのやりとりを行うための交換規約(プロトコル)を定めることにより、回線を共有した不特定多数での通信を実現する考え方を、フィジカル、つまり物流の世界にも適用しようという考え方です。例えば、IoTやAI技術を活用することで、物資や倉庫、車両の情報などを見える化しつつ、貨物も規格化された容器で管理し、複数企業の倉庫、トラックなどをシェアすることにより、ネットワークを通じて輸送されます。
Android Enterprize
Android Enterpriseとは、Android端末への設定や制御を可能とした、Googleが提供する企業向けのモバイル端末管理プログラムです。Android Enterpriseは、端末管理のためのさまざまな機能が備わっているので、対応するMDM、EMMツール等と連携することで、より高度なデバイスセキュリティや、アプリ管理を実現し、利便性の向上を図ります。
MES
MESとは、Manufacturing Execution Systemの略称で、製造工程の把握や管理、作業者への指示や支援などを行う製造実行システムのことです。人・機械・モノといった生産資源を最大限活用し、生産性向上を実現します。例えば、生産ラインの各製造工程と連携して、原材料や部品の在庫・工程進捗などをリアルタイムに把握し、生産計画にもとづいた作業スケジュールの設計や、管理者への指示を行います。また、現場作業を支援する機器としてハンディターミナルも活用されています。