RFIDの特長と導入するメリットとは?
ハンディターミナル選定時のポイントも解説します
棚卸や検品業務の作業時間を大幅に短縮!
RFIDを活用した棚卸ソリューションを紹介します。
そもそも「RFID」とは?
RFID(Radio Frequency Identification)とは、RFタグとRFIDリーダー(読み取り装置)の間で電磁波や電波を送受信し、非接触でタグ内の情報を読み取ったり、書き換えたりできるシステムの総称です。活用度の高い自動認識技術の1つとして、さまざまな業界で導入が進んでいます。
RFIDでできること
これまで、箱や袋に入っている商品に付いたタグやバーコードを読み取るには、基本的に箱や袋の中から取り出して、1つずつ手作業でスキャンする必要がありました。そのため、作業には時間がかかっていました。
RFIDであれば、箱や袋の中に入っている複数の商品タグも一括でスキャンできます。また、少し距離が離れている場合や、視認できない状況でも読み取りが可能です。ダンボール箱の中に入っている商品や、手の届かない棚にある商品のタグも読めるため、作業時間の大幅な短縮と、正確なチェックが実現できます。
RFIDの仕組み
RFIDリーダーが、RFタグと呼ばれるICタグと通信する方式は2つあります。
1つは電磁誘導方式で、近接での通信のみとなります。主に自動車のキーレスエントリーや、交通系カード、電子マネーなどに活用されています。もう1つは電波方式で、数メートルの距離でも通信できます。主に物流や、在庫管理などで活用されています。
なお、RFIDは以下のような流れで動作します。
1.RFIDリーダーがRFタグに命令を発信
2.RFタグのアンテナが命令を受信すると、RFタグ内に信号が流れチップ内の情報が信号化される
3.ICタグのアンテナが信号を発信し、RFIDリーダー側が信号を受信する
4.受信した信号をRFIDリーダー側でデータに変換し、PCで処理を行う
RFIDの歴史
つい最近できた技術のように感じられるRFIDですが、その歴史は意外なほど古く、第2次世界大戦あたりから実用化され始めています。
日本においては、交通系カードである「Suica」の登場により広く普及し、それ以降、さまざまな分野でRFIDの技術が使われるようになりました。
RFIDの特長
ここでは、RFIDを選ぶメリットでもある5つの特長をご紹介します。
1.非接触で読み取れる
2.データの書き換えもできる
RFIDでは、RFタグ内のデータを読み取るだけでなく、データを書き込むこともできます。例えば物流倉庫では、その製品が在庫なのか、出荷状態にあるのかなどのステータス管理に重宝されています。
3.複数タグを一括でスキャンできる
RFIDは、RFIDリーダーが照射する電波の範囲内にある複数データを同時にスキャンすることが可能です。例えば、アパレル倉庫などではこの一括読み取りの機能を使うことで、大量の衣服のデータをスキャンすることが可能になります。1つずつ商品のバーコードを読み取る方法と比べて、業務効率が大幅に改善されます。
4.セキュリティ性が高い
RFタグで使われているICチップは、書き込むためのパスワードを設定でき、複製も困難です。そのため、Suicaなどの交通カードにも採用されており、社員証や入館証といった用途にも最適です。さらに近年では、偽造端末による不正なデータ取得・書き換えを防ぐ「相互認証処理」を施したRFIDも開発されています。
5.メンテナンスフリー
RFIDに使われているICチップとアンテナは汚れや振動・衝撃に強く、かつ経年劣化も少ないという特長があります。そのため、特別なメンテナンスが必要なく、長期にわたって使用できます。さらに、サイズ・形状・素材も加工できるため、防水加工や防塵加工など、用途に合わせて最適化することも可能です。
RFIDを利用するメリット
ここでは、RFIDを業務に導入した場合の代表的なメリットを紹介します。
在庫管理・棚卸の効率化
RFIDを使用することで、棚卸や在庫管理が効率化できます。棚卸や在庫管理では商品の数量を確認することが必須となりますが、通常のバーコードリーダーを使う場合、商品に付いているバーコードを1つずつ読み取る必要があります。
しかし、RFIDを使用すると、商品を箱や袋に入れたまま、まとめて在庫数をスキャンすることが可能です。棚卸もその範囲にある商品を一気にカウントできるため、業務にかかる時間を大幅に削減できます。
検品作業の効率化
RFIDを利用することで、入荷時、出荷時の検品作業も効率化できます。従来のバーコードとバーコードリーダーでは梱包を開ける手間がかかり、また梱包を開けるために十分なスペースも必要でした。
しかし、RFIDであれば梱包された状態のまま検品できるため、作業時間が大幅に短縮できます。また、梱包を開ける必要がないので限られたスペースでも作業ができます。
省力化によるコスト削減
RFIDを導入することで、在庫管理や棚卸し作業、検品作業が効率化できます。それぞれの作業にかかっていた労力は大幅に少なくなり、同じ作業量であればより短時間で済むようになります。大幅な省力化が可能となるため、人的コストの大幅な削減が期待できるでしょう。
RFIDの利用シーン
ここでは、RFIDの利用例として代表的なシーンを3つご紹介します。
小売店
店舗内の商品にRFタグを取り付けることにより、在庫の棚卸にかかる労力や、入荷時の検品などにかかる労力が大幅に削減できます。RFIDであれば、1時間で数千点の商品の検品・棚卸ができるようになるため、結果的に人件費を抑えることが可能になります。
そのほかにも、RFID対応のセルフレジを導入して省人化したり、店舗の入口にゲート型のRFIDリーダーを設置して、万引き対策を行うことも可能です。さらに、RFタグが内蔵された会員カードを読み込むことで、お客様のサイズ情報や、過去の購入履歴などを確認できるため、より的確な商品提案が行なえます。
物流・倉庫
物流・倉庫では、商品にRFタグを取り付けることでさまざまな効率化、省力化が可能になります。商品にICタグを取り付け商品箱をソーターに乗せるだけで、自動仕分けできるなど、物流倉庫でもさまざまな場面で活用されています。また、より大規模なゲート式のRFIDリーダーや、RFIDリーダーを取り付けたカートでピッキング作業を行っているケースもあります。
病院・医療施設
病院や医療施設では、患者さんや検体の取り違えミスを防ぐ検体管理にRFIDが活用されている例があります。
ほかにも、患者さんのRFタグと医薬品に貼付されたRFタグを照合し、服薬ミスの可能性を減らすことができる服薬管理に活用されていたり、人工呼吸器や心電図モニターなどのME機器にRFタグを取り付け、管理に活用しているケースもあります。
RFID対応ハンディターミナル選定時のポイント
RFIDを使用する場合のハンディターミナルの選定ポイントについて解説します。
使用目的を明確にする
まず、当然のことですが、使用目的や場所を明確にしましょう。RFIDリーダーはガングリップタイプであれば、一体型となって連動するハンディターミナルがおすすめです。ICタグを読み取り時にはRFIDリーダーで、バーコード読み取りの時は、ハンディターミナルでと2WAYで使用する場合にお薦めです。
使用環境を確認する
RFIDを導入する場合、使用環境についても事前に確認が必要です。RFIDは電波を利用するため、金属の多い環境では電波障害が起きやすい特性があります。導入を検討する場合は、実際に使用を予定している場所で、スムーズに読み取りができるかなどテストすることが大切です。
棚卸や検品業務の作業時間を大幅に短縮!
RFIDを活用した棚卸ソリューションを紹介します。