-スキャナの凄ワザ-
読み取りの時間・距離・難読性能
バランスの最適化がスキャナ開発のポイント
カシオ計算機株式会社
森山 鉄平
開発本部 第一開発統轄部
使い勝手を高めるために
「カメラ機能をQRコードの読み取りに流用するスマホとは異なり、ハンディターミナルはバーコード読み取り専用のスキャンモジュールを搭載しています。読み取りのパフォーマンスはまさに桁が違います」。 ヘビーユーザーともなると、一日に数百回から千回近くもバーコードを読み取る為、 業務用ハンディターミナルには、それに耐えうる信頼性と性能が不可欠なのだ。競合製品に対する優位点についても森山の見解は明確だ。
「バーコードを読み取る時間、読み取りの距離、さらに読み取りにくい難読コードへの対応、この3つが高いレベルでバランスよく整っているのは、カシオならではの特長、優位点だと考えています」。 いくら読み取り時間が速くても、ピンポイントでしか読み取ることができなかったり、難読コード読み取り性能は高くてもそれに時間がかかっていたら、お客様企業の業務には使えないということだ。
「どれが欠けてもいけません。このバランスこそが使い勝手に直結する部分です」 読み取りの時間・距離・難読のバランスを最適化することが、スキャンモジュール開発の要諦というのが彼の考えだ。
現場へ赴き課題解決をサポートすることも
お客様企業の現場から高い評価を得ているというカシオの業務用ハンディターミナル。森山はそれを裏付けるエピソードを紹介してくれた。
「開発エンジニアとして、実際のお客様の現場に足を運び、バーコードが読み取りにくいという環境を確認することもあります。バーコード自体が読み取りにくい場合もあれば、現場の照明の加減に起因しているケース、中にはバーコード自体が紙ではなく、反射しやすい素材にプリントされていたなど、ハンディターミナルのパフォーマンス以外の要因である場合もあり、本当に千差万別です」。
そんな場合でも読み取りミスが起きにくい使い方や設定変更をアドバイスするなど、ケースやシーンに合わせた対応をしてきたという。もちろん、そうした経験からスキャンモジュール改善につながるアイデアを得ることも少なくない。開発エンジニアといえどお客様の現場をきちんと確認・把握する。そんな姿勢が現場評価の高さにつながっているのだろう。最後にスキャナの進化について聞いた。
「これまでのデジタルカメラの進化は、撮像センサーの高画素化とも言うことができます。
ハンディターミナルの撮像センサーも、今後は画像のデータ量が増えたり、解析技術も進化していくでしょう。読み取りの時間・距離・難読のバランスを最適化するという技術の根本は不変ですが、それぞれがよりレベルアップして、今以上にお客様のビジネスに貢献できる端末として進化していくはずです。また、そうしていかなければなりません」と森山は語る。