
すべてのユーザーにとって使いやすい関数電卓を目指して
カシオの関数電卓 ClassWizが、およそ10年ぶりのフルモデルチェンジを果たしました。
関数電卓は機能的に成熟した製品とされ、現行モデル以上の進化は難しいと考えられてきましたが、
この度カシオでは“使いやすさの革新”という新たな開発コンセプトを掲げ、
UI(ユーザーインターフェース)を徹底追求。「ClassWiz CWシリーズ」を完成させました。
その開発ストーリーをご紹介します。

カシオ計算機株式会社
Edtech BU 商品戦略部 ハード戦略室
鈴木 美紀

カシオ計算機株式会社
技術本部 デザイン開発統轄部 第一デザイン部 G デザイン室
岡 駿佑
世界中の教育現場で
「関数電卓は初めて使う人には操作が難しい」との声
新しい関数電卓の開発プロジェクトがスタートしたのは、2017年のこと。社内では、製品としてすでに完成形であると考えられていた関数電卓ですが、世界中の学校に出向き改めて聞き取り調査を行ったところ、「現行製品は、関数電卓独特の仕様により直感的に操作が理解しづらい」という声が多く聞かれる結果となりました。

学生や先生の声
「キーの文字色が多すぎて目的の機能を探すのに苦労する 」
「[=]で機能を選択するなど関数電卓独特の仕様があり、直感的な操作が難しい」
「カーソルが入力中どこにあるのか分かりづらい」
「機能がカテゴリ分けされておらず、いろいろな場所に点在しているので操作が覚えられない 」
「呼び方がわからないキーなどがあり、操作を口頭で教えづらい」

高性能はそのままに“使いやすさ”の向上へ
私がエンジニア出身ということもあったのでしょう、リニューアルにあたってはさらなる高機能化を実現したいと当初は考えていました。
しかし、何人もの生徒さんから従来モデルに対する意見を聞く中で、「関数電卓は難しそうだな」という顔をしている人が少なからずいることに気付きました。そこで思い出したのが、私自身も関数電卓の使い方が分からなくて試験に失敗し、単位を落としたことがあったなという学生時代の苦い記憶。どんなに高性能でも操作が分かりづらいのではしょうがない。新しいモデルでは使い勝手を改善し、この電卓を使ってみたいなと思ってもらえるようにすることが大事だと考え、製品コンゼプトを”使いやすさ“に決めました。
“Approachable(使いやすい)”というコンセプトを
いかに具現化するか



目指したのは、説明不要で誰もが簡単に使いこなせるデザイン
従来モデルのデザインが目指したのは、高級感や先進テクノロジー。そのコンセプトが、関数電卓は難しいというイメージをユーザーに与えてしまっているのではないかと考えました。そこで、CWシリーズのデザインは、“使いやすさ”に加えて“親しみやすさ”にもこだわりました。説明がなくても使えることはもちろんですが、数学が苦手な学生さんが使いたい気持ちになることも意識してデザインを作り込んでいきました。
細部にまでこだわった「ClassWiz CWシリーズ」の新UIデザイン
■キー形状を丸型へ
丸型を採用したのは、関数電卓は何回も押すものだから手なじみの良いものにしたいと考えたためです。四角形状の場合、角を押してしまったりすると引っかかることもありますが、丸型はどの角度から押しても均一な押し心地になります。そうしたメリットを考慮し、キー形状は丸型が適切だと判断しました。開発時には丸型キーのサンプルを試作。押し心地などを実際に確かめながら完成へとこぎ着けました。

■親指で操作しやすいキーレイアウト
キー形状の次に考えたのが、カーソルキーとかホームボタンといった操作キーのレイアウトです。学生は片手で持って使うことが多いので、親指が左上から右下に向かって順番に押していけるよう、指の動線を作ってあげたほうがいいと考えました。これは、左上からモノを見始める人間の特性にもマッチしています。

■独立機能キーによるシンプル操作
従来モデルでは、1つのキーごとに2種類のサブ機能を設定していたところを、新たに独立機能キーを用意してサブ機能の役割を集約。これにより1つのキーに割り当てられていたサブ機能の数を削減し、シンプルなキー表示と操作性を実現しています。

■キー表示をもっと見やすく分かりやすく
従来モデルでは5~6色使ってた機能名の印刷表示を2色に限定するなど、キー表示の見やすさを意識した様々な工夫を施しています。


その他にも数々のこだわりをカタチに
■四則計算テクスチャーで親しみやすさをプラス
ボディ側面部は、3種類のテクスチャーによる多層構造となっています。もともとは模造品対策用だったのですが、3層構造の内の1層に+-×÷の四則計算マークをパターン化したテクスチャーを採用し、遊び心のあるデザインで親しみやすさをプラス。指にかかるグリップ感も高めています。

■フック式のハードカバーで持ちやすさを向上
ハードカバーを従来のスライド式からフック式に変更。カバー装着時の厚みを薄く、幅を縮小することで、操作時の快適な持ちやすいさを実現しています。

■環境に配慮した紙パッケージで脱プラスチックを実現


プロダクトとしての美しさにもこだわる
新しいハードカバーを装着した際に、本体がいかに美しく見えるかにはこだわりましたね。本体からハードカバーまでがなるべくひとつながりになって美しく見えるようにと、3Dプリンターで出力してひたすら追っかけました。さらに、本体の表裏どっちに装着してもきれいな楕円になるようにしたのもデザイナーとしてのこだわりポイントです。もしかしたら、今回の造形検討の中で一番時間をかけた部分かもしれません。

高度な機能をもっと使いやすく。
カシオの新たな挑戦が生み出した「ClassWiz CWシリーズ」

新次元の使いやすさで
関数電卓の新基準へ
現在、どこの国の教育現場でも、単純な数学力だけではなく、クリエイティビティやクリティカルシンキングといった、いわゆる4C教育の推進がトレンドになっています。そのため、今回の新モデル開発では、単純に計算結果が出るといったものではなく、ちょっと方向性を変えて、電卓上でシミュレーションができる機能など、生徒の学習に役立つ機能を追加させてもらいました。「数学ってちょっと面白そうだな」と生徒の興味、関心を引くための機能として、先生方にもお使いいただけると考えています。さらに、授業のICT化を推進すべく、ClassPad.netとの連携も強化しています。

使いやすさを追求したデザインが評価され、
『iFデザインアワード』を受賞
今回、新たに開発された「ClassWiz CWシリーズ」は、ユーザー視点に立った製品コンセプトやプロダクトデザインが評価され、世界3大デザイン賞のひとつに数えられる「iFデザインアワード」を受賞しました。国際的に権威のある本賞をいただけたことは、本開発に携わった者としてとても光栄に思っています。使いやすさというのは、実際に手に取って操作してみないと分からないもの。先行して発売が開始されている海外では、新モデルのコンセプトが先生方から高く評価されているとお聞きしていますので、日本の皆さんにもぜひ「ClassWiz CWシリーズ」の使いやすさを試して実感いただければと思っています。
ラインアップ
PROFESSIONAL
関数・機能 700以上
HIGH SPEC
関数・機能 600以上
STANDARD
関数・機能 500以上
電卓を保護するハードカバー付き
