The World of CACHALOT
世界の時を、その腕に
OCEANUSと聞いて、まず思い浮かぶのは、フラッグシップラインの「Manta」や端正な機能美を備えた「Classic Line」かもしれない。けれど、OCEANUSにはもうひとつ、異なる個性を持つ「CACHALOT(カシャロ)」というシリーズがある。その名は、“マッコウクジラ”を意味するフランス語に由来。その大きな身体で深い海を自在に進む姿になぞらえるように、CACHALOTはこれまで、ヨットやウインドサーフィン、ダイビングなどのマリンアクティビティで役立つ機能や性能を追求してきた。
そして今月、CACHALOTに6年ぶりとなる新作『OCW-P3000』が登場する。目指したのは、世界を舞台に活動する現代のライフスタイルに寄り添う、ワールドタイムの新しいかたち。世界の時間を知ること。その時間を正確に刻み続けること。そして、そのための機能を美しい造形へと昇華すること。『OCW-P3000』には、CACHALOTがこれまで培ってきた思想と、まだ見ぬ未来を描く意志が息づいている。
世界の時を一望する。独創的なワールドタイムを備えたオシアナス・カシャロ
ベゼルを回せば、世界が見えてくる
あの街は、いま何時だろう。海外の友人に連絡するとき、旅先から日本に思いを向けるとき。東京で朝が始まるころ、ニューヨークでは夕暮れを迎え、ロンドンでは夜が深まっている。世界には、それぞれの場所で流れる時間がある。『OCW-P3000』が提案するのは、そんな世界の時間をもっと直感的に捉えるための新しいアプローチ。そのために搭載されたのが、CACHALOTの独自機能「タイムゾーンナビゲーター」だ。ダイアルに並ぶ都市コードと、ベゼルに刻まれた24時間表示を組み合わせることで、基準都市を中心に、世界各地のおおよその時刻をひと目で把握できる。ベゼルを回すというシンプルな操作が、離れた場所の時刻を身近なものへと変えていく。ひとつのダイアルの上で世界を見渡すような感覚が、CACHALOTならではのワールドタイムを生み出している。世界とつながることが当たり前になったいま、時間を知るという行為にも、もっと自由なかたちがあっていい。『OCW-P3000』は、その答えをアナログ時計の上に描き出した。
正確な時間を支える、見えない強さ
世界の時間を自在に読み解くためには、まず、自らの時間が確かでなければならない。しかし、OCEANUSが追求してきたのは、ただ正確な時刻を表示することだけではない。日常のなかで起こりうる衝撃や磁気の影響から、“時計の心臓部”であるムーブメントを守り、正確な時間を保ち続けること。その思想を支える技術のひとつが、タフムーブメントだ。『OCW-P3000』では、この思想を受け継ぎ、さらに進化させた「TOUGH MVT.2」を採用している。その特徴のひとつが、衝撃検知付きの針位置自動補正機能。強い衝撃によって針の位置がずれた場合にも、それを検知して自動的に補正する。そして、磁場の影響を検知する機能も備え、針の動きまで見守ることで、正確な時刻を保つための信頼性を高めている。時計の針が時を刻む。その当たり前の動きを、いつでも確かなものにするために。目には見えない技術の積み重ねが、日々の何気ない瞬間を支えているのだ。世界の時間を知るための「タイムゾーンナビゲーター」と、正確な時刻を保ち続ける「TOUGH MVT.2」。読み解く機能と、守るための技術。そのふたつがひとつになることで、『OCW-P3000』は世界を行き交う時間に、確かな信頼性を与えている。
機能を、美しいかたちへ
多くの機能を搭載した時計は、ともすれば、その機能がデザインを支配してしまう。けれどOCEANUSが大切にしているのは、機能をただ詰め込むことではない。機能を最大限に引き出しながら、それ自体を美しい造形として成立させること。『OCW-P3000』のデザインには、その美意識が随所に表れている。
まず、ひときわ目を引くのが、ブラックを基調に、ブルー、グリーン、グレーを組み合わせたツートンカラーの回転ベゼル。その色分けは、単なるデザインアクセントではない。セラミックならではの光沢が精悍な表情を生み出すと同時に、24時間表示を昼夜で区分することで、世界各地の時刻を直感的に読み取るための役割も担っている。機能から生まれた色彩が、そのままデザインの個性となっているのだ。
そしてダイアルにも、機能と美しさを両立させる工夫が息づく。蒸着処理によって光の角度ごとに繊細な表情を見せる文字板に、一体成型のインダイアルを組み合わせ、視認性を高めている。大型で大胆なシルエットの針やインデックスも、時刻の読み取りやすさを追求したもの。アクティブな環境においても必要な情報を、いかに見やすく、美しく配置するか。そこにも、OCEANUSならではのこだわりが感じられる。
その造形へのこだわりは、バンドにまで貫かれている。新たに設計されたH駒は、鏡面仕上げのパーツを別体で組み込み、その輝きを際立たせた構造。ザラツ研磨による鏡面と、落ち着いたヘアライン面が織りなすコントラストが、チタンの表情に豊かな奥行きを与えている。さらに、細かなピッチで連なる駒が、手首にしなやかに沿う軽快な装着感を生み出す。
世界の時間を読み解くための機能から、光を受けて表情を変える細部の仕上げまで。一つひとつの要素が機能を果たしながら、全体として調和する。そうした緻密な設計と造形の積み重ねが、OCEANUS随一のスポーティさを持つCACHALOTに、確かな品格を添えている。
3つの色が描く、CACHALOTの個性
今回の『OCW-P3000』には、3つのカラーバリエーションが用意されている。共通するのは、CACHALOTらしい力強さ。それぞれの色が異なる個性を映し出し、CACHALOTの魅力を多彩に広げている。
ブルーダイアルの『OCW-P3000-2AJF』は、深い海を思わせる色調が印象的だ。そこに映えるのが、秒針の先端に配されたレッドの差し色。ブランドを象徴するオシアナスブルーに鮮やかなアクセントが加わることで、スポーティな躍動感が際立っている。一方、グリーンダイアルの『OCW-P3000-3AJF』から感じられるのは、自然を思わせる穏やかさと、軽快なアクティブ感。深みのあるグリーンに、秒針の先端を彩るライトブルーが爽やかなコントラストを生み、全体の表情に軽やかなリズムを添えている。そして、ブラックダイアルの『OCW-P3000B-1AJF』は、色彩を抑えた精悍な佇まいが持ち味だ。ケースとバンドにもDLCコーティングを施し、全体をブラックで統一。光を受けて浮かび上がる素材の質感や造形が、シンプルな色使いのなかに奥行きをもたらしている。
CACHALOTが、OCEANUSにもたらすもの
OCEANUSは、ひとつのスタイルにとどまらない。『OCW-P3000』が示すのは、時計の機能や造形を追求するだけでなく、世界と時間との新しい向き合い方を提案するという可能性だ。6年という時を経て、新たな姿で登場したCACHALOT。単なるスポーツウオッチでも、ワールドタイムウオッチでもない。その独自の価値が、OCEANUSの世界をさらに広げていく。海の深くを進むマッコウクジラの名を冠したCACHALOT。その視線は今、海の向こうへ。世界をつなぐ時間へと向けられている。
Text: Tatsuya Nakamura | Photography: Daisuke Taniguchi
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