

どの時代のお客さまに対しても
違和感のないハンディターミナルを提供する
ハンディターミナルのOSとして、大きな存在感を示してきたWindowsCE。しかし現在、数多くの端末に採用されているWindows Embedded Compact 7は2021年4月にサポートが終了し、2026年2月にはEOL(製品のライフサイクル終了)を迎えます。残された猶予期間は約3年半。それまでに現在、Windows CEを使っている企業は、新たなOS環境への移行を完了する必要があります。その際に非常に有用な選択肢となるのがAndroid OSへの移行です。そこで、ハンディターミナルのOSとしてAndroidは何が優れているのか、Androidを搭載したカシオのハンディターミナルは他社製品と比べてどんな優位性があるのかについて、長年にわたりハンディターミナルとAndroidに携わってきたカシオのスペシャリストに話を聞きました。
カシオ計算機株式会社
境井徹
営業本部 国内営業統轄部/PA営業部/スペシャリスト
入社以来10年間、SA(ストアオートメーション)事業に携わり、キャッシュレジスター用のOSやソフトウェアの開発に従事。その後、PA(パーソナルオートメーション)事業に舞台を移し、ハンディターミナルの開発に参画。さらに、Android搭載端末の開発にも携わり、カシオ初のAndroid搭載ハンディターミナル「IT-G400」のリリース(2016年)にも尽力した。カシオにおけるハンディターミナルとAndroidのスペシャリストとして、現在に至る。

-前編では、 Android を搭載したカシオのハンディターミナルなら“将来にわたる互換性まで担保することができる”というお話を伺いました。その背景には、Android 11年×ハンディターミナル 37年のノウハウがあるとのことでしたが、カシオ製品の具体的な特長としては、どのような点が挙げられるのでしょうか。
境井:この37年、カシオは、独自OS、ROM-DOS、Windows CE系と、その時代の求めに応じたOSを採用してハンディターミナルを開発してまいりました。そして今、時代はAndroidへと完全に移行しようとしています。そこにおけるカシオ製品の特長は、「どの時代のお客さまに対しても違和感のないハンディターミナルであること」だと考えます。

昔からハンディターミナルをお使いのお客様には「OSなんか何でもいい」とおっしゃる方が少なくありません。この言葉の裏には「今の業務を継続できるなら」があり、求めてもいないOSの変更を理由に業務を変えられることは許しがたいということです。
このようなお客様にとっては「OSが何か?」ではなく、現在のハンディターミナル業務を如何にスムーズに、低経費に置き換え可能か?が最重要なポイントになります。そして、その上で業務効率の改善や、経費効率の改善を提案させて頂くべきであると思います。
一方、スマートフォン用OSとして広く使われるAndroidを、その柔軟性や、可搬性、システム親和性を価値と捉えて業務に取り入れようとするお客様もいらっしゃいます。そのようなお客様には、一般のスマートフォンと同じ機能や操作性、ソフトウェア互換性に価値があり、それに加えて「高性能なバーコードスキャナが搭載されている」という見え方が重要になります。
そこでカシオのハンディターミナルは、前者のお客様には「昔ながらのハンディターミナル」と見え、後者のお客様には「Androidを搭載したスキャナ付きスマートフォン」と見えるような、異なるふたつの側面を持つように作られています。
-そのような特長があるからこそ、従来のWindows CE環境から新たに Android環境に乗り換える場合でも、ハンディターミナル業務の移行が比較的スムーズに行えるということでしょうか。
境井:はい。OSが変わるため、端末アプリケーションの移行は必要ですが、WinCE時代に構築したインフラまで作り直す必要はありません。例えば、Windows CEでは、クレードルを介してサーバーとのデータ交換されていたお客様は、お使いのハンディターミナルとクレードルを新しくするだけで、サーバーシステムを変更せずに運用を継続することができます。
また、Windows CEから使われていたWebアプリや、リモートデスクトップ・アプリも、そのままAndroidからご利用いただけるなど、Androidに変わっても構築済みのインフラを継続的にご利用いただけるツールなどもご用意しております。
このようにWindows CE時代に構築した資産を活かしながら、少しずつ新しいチャレンジを重ねていくのも賢い投資の方法だと思います。そのためにもアプリケーション互換性に支えられた成長の基盤足り得るシステム構築をお勧めしています。
-Androidを業務に利用するためにはAndroid EnterpriseやEMMが必要であるとよく耳にしますが。

境井:Android Enterpriseとは、Googleが提供する法人向けのプログラムであり、EMM(Enterprise Mobility Management)ソリューションと組合せて、業務に使用するAndroid端末を一括で管理するための仕組みです。ハンディターミナルの他、スマートフォンやタブレットまでも共通のセキュリティーポリシーで管理できるため、情報システム部門の端末管理にかかるパワーを大きく削減することができます。
ただし、Android Enterpriseは業務で使用するAndroid搭載端末や、そこで動作するアプリケーションを保守・管理するためのものであり、実際の業務ソリューションではありません。そのため、EMMを導入されるかどうかは、お客様の端末導入規模や、運用を見据えてご判断いただくべきであると考えます。
-EMMを導入しなくても、Android端末やアプリケーションを保守できるものなのでしょうか?
境井:はい、必ずしもEMMを導入される必要はありません。ただ、端末や業務アプリケーションを保守するために、何らかの仕組みは用意しておくべきです。
カシオでは、EMMを導入しなくても端末や業務アプリを保守できるよう、CTM(Casio Terminal Management)というソフトウェアをご用意しています。CTMには、アプリケーションやデータの配布、端末稼働状況の確認、端末のリモート保守など、端末管理の基本機能はもちろんですが、他にもお客様からの要望が多かった「置き忘れ端末のブザー呼び出し」など、ハンディターミナルを日々、運用・保守していくために必要な様々な機能が用意されています。
-カシオのハンディターミナルの開発コンセプトをお伺いしましたが、Androidを業務に使用する際の課題についてもお話をお聞かせください。
境井:Androidは、個人利用のスマートフォン用OSとして開発されてものであるため、端末使用者=端末オーナーという考えが根底にあり、オペレータにはすべての権限が与えられます。しかし、業務用途の場合、端末を管理するのは情報システム部門などの「端末管理者」であることが普通です。その端末管理者からすると、仕事が止まる可能性を排除するために、設定画面や、業務以外の操作は可能な限り禁止したいものです。
このような「端末管理者」の思いを具現化するひとつの手段がAndroid Enterprise、EMMの利用なのですが、カシオの端末であれば、EMMを導入しなくても端末管理者のご希望にお応えする機能やツールを標準でご用意しておりますので、安心してお使いいただくことができます。
-2026年2月のWindows Embedded Compact 7のEOLまで、あと3年半となりました。まだ Android (もしくはその他の環境)への移行プロジェクトに着手できていないユーザー企業も多いと思われます。
境井:コロナ禍が長引く中、設備投資は極力抑えたいと考えるのは当然のことです。そのために、端末のリプレース費用を少しでも下げようと、「もう一度Windows CEで」とお考えになるお客様も少なくありません。しかし、同じWindows CE間であっても、ベンダーが異なればアプリの互換性は非常に低く、多くの場合は組み直しになってしまいます。
Androidの最も優れた点は「アプリケーション互換性」です。一度Androidへの移行してしまえば、例え5年後のリプレースで別ベンダーへ乗り換えられたとしても、そこにかかる費用を大きく抑えることができます。今、Androidへの移行に迷われているお客様には、今回だけでなく、5年後、10年後に続く中長期的な投資効率を考え、Androidへ移行されることをお勧めします。
Androidへの移行に限らず、ハンディターミナルで何かお困りの際には是非一度、カシオにお声がけいただければ幸いです。

-前編・後編にわたって、ありがとうございました
ハンディターミナルのお困りごと解決
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