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業界トピックス【フィジカルインターネットとDX】 | ハンディターミナル | CASIO

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月刊「LOGI-EVO」は、2021年8月に創刊されたあらゆる産業に関わるロジスティクスの総合専門誌です。

プロローグ

物流危機が叫ばれて久しく、その解決のための具体的な取組が様々浮上しているが、依然としてその不安はぬぐえておらず、危機感は増すばかりだ。需要があり、商品が生産されていても肝心の商品が消費者のもとに届かない事態が発生すれば、生産・配送・販売のサプライチェーンが寸断され、我が国の経済活動は機能不全に陥る。

この危機への対応として、個別的な対策・取組が進展する一方、サプライチェーン全体を俯瞰でとらえた通貫的な施策が求められてきたが、昨年来、政府として「フィジカルインターネット」の実現をその主軸に据える動きが加速している。その要となるのがDXの進展だ。本稿では、物流危機の実情を確認し、フィジカルインターネットならびに政府の取組を解説しつつ、その要となるDXの推進、ならびにその推進に欠かせないツールの現状を報告する。

1.物流危機の実情

(1)「2024年問題」について

物流危機についてはこれまで様々に報道され、論じられてきている。端的に言えば、物流業界のみならずサプライチェーンにおける諸課題をこのまま放置していれば「モノが運べなくなる」事態に陥るということだ。その中でも最たるものがドライバー不足で、近年すでにこの現象は顕在化している。

その要因はこれも複数からんでいるが、主に①少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少、②ドライバーの平均給与の低さ、③長い労働時間・拘束時間、④労働自体の肉体的負荷の大きさ、⑤EC市場拡大による荷物配送需要の増加、⑥運転免許制度の改正(中型免許の追加、大型免許の難易度上昇)――などの項目が挙げられる。運ぶ荷物もトラックもあるが、それを運ぶドライバーが不足しているのだ。

この状況にさらに追い打ちをかけるのが労働法改正に伴う時間外労働上限規制。「働き方改革」の一環で行われた改正で、2024年4月から自動車運転業務にも適用範囲が及ぶことになる。これにより時間外労働は月45時間、年間960時間までとなり、ドライバーを雇用・管理する事業者がこれに違反した場合は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金を科される可能性が出てくる。

厚生労働省調査によれば、トラックドライバーの残業を含めた年間労働時間は2,500時間以上であり、全産業平均の2,124時間を大幅に上回る。時間外労働時間がそれだけ多いことは言うまでもなく、逆に言えばドライバーの時間外労働により物流が維持されていると言っても過言ではない。このままでは、この規制により深刻なドライバー不足が招来することはほぼ間違いないものと見られており、その警鐘の意も含め「2024年問題」と表現されている。

(2)ドライバーだけでなく庫内作業者も不足

不足しているのはドライバーばかりではない。物流センター・倉庫における庫内作業者の不足感も最近急速に強まっている。EC市場拡大による荷物配送需要の増加は物流センター・倉庫の建設ラッシュにつながっている。ECの物流センター・倉庫は大型のものが多く、新規拠点では自動化設備導入が進んでいるが、それでも一定数の庫内作業者を必要とする所が多い。既存拠点だけでも庫内作業者が不足しつつあったところに新規拠点稼働が相次いだわけで、庫内作業者の不足感が急速に強まったのも当然のことだろう。

2021年6月に物流センターソリューションベンダーが実施した調査によれば、物流・倉庫部門の人手不足状況についての回答比率は「非常に不足している」が7.3%、「不足している」が24.4%、「やや不足している」が33.3%であり、不足を感じているとの回答比率は6割超に達している。

さらに、人手不足がどの程度業務に影響を及ぼすかについての回答比率は「深刻な影響がある」が8.2%、「影響がある」が48.7%、「今のところ影響はないが、今後の影響が懸念される」が38.8%であり、人手不足により業務に何等かの影響を及ぼすと考えているとの回答比率は9割超に達している。現状ですでに不足感があり、業務に影響が及んでいるか、あるいは及びつつあるわけだ。

2.物流危機打開の切り札と期待されるフィジカルインターネット

(1)フィジカルインターネットとは

このようにドライバーならびに庫内作業者の不足による招来される物流危機に対し、生産・配送・販売のサプライチェーン全体での連携による打開策が模索される中、その切り札として期待されているのが「フィジカルインターネット」だ。

フィジカルインターネットについては、「フィジカルインターネット 企業間の壁崩す物流革命」(エリック・バロー、ブノア・モントルイユ、ラッセル・D・メラ―〔著〕、荒木勉〔訳〕/日経BP刊)で「相互に結び付いた物流ネットワークを基盤とするグローバルなロジスティクスシステムである。その目指すところは効率性と持続可能性の向上であり、標準化されたモジュラー式コンテナ、物流結節点、プロトコルを通じてリソースの共有と統合を可能にする」ものと定義されている。インターネットという情報基盤のシェア(共有)・コネクト(連携)による無駄のない効率的なデータ送信の仕組みを、モノ(フィジカル)の流通、すなわち物流に適用しようという考え方だ。

フィジカルインターネットでは、貨物の配送・積替回数を最小限化するとともにサプライチェーン上のあらゆる工程にかかる時間や労力を効率化することで生産性向上を図る。具体的には、積替のための配送・積替の結節点となる「ハブ」を設け、貨物を受け渡しするための単位(貨物の規格)を統一した輸送容器「コンテナ」を活用する体制を整えるとともに、物流リソースを共有化して貨物をやりとりするための運用上のルール「プロトコル」を決定することになる。

(2)政府が「フィジカルインターネット実現会議」を開催

フィジカルインターネットが物流危機への対策として有用であることは物流に関わる学識者・企業経営者、そして政府関係者の多くが認めている。しかし、その実現については様々な課題を挙げ、困難であるとの声が少なくなかった。ただ、物流危機の招来がすでに露になっている現実を前に、その実現の困難さから積極的な取組を避けてはいられない。

政府としては、物流行政を所管する国土交通省はもとより、メーカー、卸、小売業の有力企業が参加する製・配・販連携協議会をサポートし、サプライチェーンにおける物流の持続性に危機感を抱いてきた経済産業省もその打開のためにフィジカルインターネットの実現が欠かせないとの認識から、その実現のために積極的に動き出した。

2021年10月6日に第1回目が開催された「フィジカルインターネット実現会議」がそれで、2022年3月4日の第6回まで開催された。同会議には物流に関連する学識者・研究者・コンサルタントなどが委員として参加。最終的に我が国でフィジカルインターネットを実現するための道筋と工程を示すロードマップを策定し、発表する(2022年3月8日に公表)までにこぎ着けた。

3.DXがフィジカルインターネット実現のカギ

(1)フィジカルインターネット実現へのロードマップに示されたDXの推進

フィジカルインターネット実現会議により策定されたロードマップは、取組の項目として、①ガバナンス、②物流・商流データプラットフォーム、③水平連携:標準化・シェアリング、④垂直統合:BtoBtoCのSCM、⑤物流拠点:自動化・機械化、⑥輸送機器:自動化・機械化――の6項目に分類し、それぞれ現状分析から準備期(~2025年)、離陸期(2026~2030年)、加速期(2031~2035年)、完成期(2036~2040年)の各期間において実施すべき施策を組み込んだ。

そして、その結果としてのフィジカルインターネットのゴールイメージについて、①効率性(世界で最も効率的な物流):リソースの最大限の活用による、究極の物流効率化/カーボンニュートラル(2050)/廃棄ロス・ゼロ/消費地生産の拡大、②強靭性(止まらない物流):生産拠点・輸送手段・経路・保管の選択肢の多様化/企業間・地域間の密接な協力・連携/迅速な情報収集・共有、③良質な雇用の確保(成長産業としての物流):物流に従事する労働者の適正な労働環境/物流関連機器・サービス等の新産業創造・雇用創出/中小事業者の物流の「規模の経済」を享受し成長/ビジネスモデルの国際展開、④ユニバーサル・サービス(社会インフラとしての物流):開放的・中立的なデータプラットフォーム/買い物弱者の解消/地域間格差の解消――を明示している。

各項目における実施施策の詳細はここでは省略するが、いずれの項目にも関連するのがDXだ。関連性の度合いに濃淡はあるものの、DXがその達成に欠かせない取組であることは間違いなく、フィジカルインターネット実現のカギであることは間違いない。中でもDXを重視しているのが物流拠点(自動化、機械化)の項目。「物流現場においては、手荷役等に加え、書面による業務が多く行われている」とし、物流危機の懸念が高まりを背景に「2030 年度までのおよそ10年間を、物流 DX の『集中投資期間』と位置付け、荷受け・配送管理業務でのデジタル化、手続の電子化による入出庫業務の効率化、AI や IoT 等の先端技術による物流施設全体の可視化やマテハン導入等による業務効率化を強力に推進する」としている。  

経済産業省 作成資料 ※出所:経済産業省 作成資料より

(2)DXを推進するための業務と活用ツールの見直し

物流センター・倉庫の庫内作業者が不足し、物流危機の要因がドライバー不足ばかりではないことを前述したが、庫内作業の自動化設備の導入はまさにこの課題の対策になる。この自動化設備の運用を支えるのがWMS(倉庫管理システム)やWES(倉庫運用管理システム)、WCS(倉庫制御システム)といったITソリューションシステムであり、物流センター・倉庫のDXの中核となる。

庫内作業の中でこれらシステムが有効に機能させるためには、荷受け・配送管理業務や入出庫業務におけるデータのデジタル化とそのデジタルデータの取り込みが欠かせない。具体的には、ハンディターミナルやコードリーダーなどの情報端末機器で荷物に付されたコードを読み取り、システムに取り込むことで自動化設備を適切に稼働させ、庫内作業・業務を効率化することで生産性向上につなげる。

こうしたDX推進において欠かせない情報端末機器だが、その中でもハンディターミナルについては近年機能性が大幅に向上しており、庫内作業・業務のDXを推進する中で既存機器を見直すことも生産性向上に有効だろう。これまでハンディターミナルOSの主流を占めたWindows Embedded Compact 7サポートが2021年4月に終了し、2026年2月には提供そのものが終了することから、Android OS製品への切り替えも進めていく必要がある。まだ時間はあるとはいえ、Android OSのセキュリティの高さ、アプリの豊富さなども考えれば、早い段階で切り替えを進め、そのメリットを享受する方が望ましいに違いない。

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