
Brand New Manta
シリーズ初の3針モデル“OCW-S400”
2007年に世界最薄クロノグラフ電波ソーラーとして誕生したManta。以降、“Elegance, Technology”を掲げるOCEANUSのフラッグシップとして、タフムーブメントや6モータードライブ、Bluetooth®搭載電波ソーラーといった先進テクノロジーを搭載し、操作性や信頼性を革新しながら、同時にスパッタリングによるブルー表現や薄さへの挑戦など、独自のエレガンスを追求すること17年。OCEANUSの技術進化の証とも言えるMantaの歴史に、今新たな1ページが刻まれようとしている。これまでクロノグラフであることにこだわり続けてきたMantaから、なんと3針モデルが発売されることになったのだ。そこで今回のBLUE MOTIONSは、記念すべきManta初の3針モデルについて、開発者の話を交えながら徹底解剖したいと思う。
薄型コンパクトデザインの誕生
Mantaらしさをそのままに、時・分・秒針のシンプルなダイアルで表現されたコンパクトサイズの3針モデル『OCW-S400』。

Bluetooth®搭載電波ソーラー『OCW-S400-2AJF』 ¥165,000(税込)
「これまでMantaは、常に最先端のテクノロジーを搭載したクロノグラフであること。そして既に「3 Hands Models」というシリーズが存在していることから、3針モデルを開発してきませんでした。しかしフラッグシップである以上、シーンや趣向、ライフスタイルごとに選んでいただける幅広い商品を展開するべきだと考えたとき、3針時計にこだわりを持つ方や見やすい時計を好まれる方にも目を向け、ならば“最高水準を誇るMantaクオリティの3針モデルを作りたい”という想いから開発に至りました」。
目指したのは、Mantaのデザインを一番楽しんでもらえる3針モデル。構想から発売に至るまで、2年半もの時間を要したという。なかでも最適なサイズを検討することに一番時間が掛かったそうだ。
「サイズ感など妥協できない商品なので吟味して開発しましたが、我々のモノづくりへの想いがよりお伝えできる20周年のタイミングに出したいという気持ちが強くありました。サイジングにおいては、シンプルになったフェイスとベゼルとのバランス、それに合うケースサイズと風防ガラスからラグにかけての伸びやかなシルエット。そしてクロノグラフが中心であるMantaラインアップの中でのバランスを3DCADでシミュレーションし、3Dプリントによる実物検証を繰り返して導き出しました」。
これより小さすぎるとMantaの持つ伸びやかさやシャープさを損なってしまい、逆にクロノグラフより大きくなるとラインアップとしての均衡が崩れてしまう。デザイン性と既存モデルとのバランス、そして身に着けやすさも考慮したコンパクトさは、まさにベストサイズと言えるだろう。

見やすく着けやすいベーシックなブラックの『OCW-S400-1AJF』
またそこに一役買っているのが、時計の心臓部であるモジュールの存在だ。今回シリーズ初となる日付表示付き3針ムーブメントを採用。片面高密度実装技術により、Bluetooth®や電波ソーラーを搭載しながら、ケースの薄型・小型化を実現している。
「Mantaの最新モデル『OCW-S7000』などで採用しているムーブメントを、3針仕様に改造して使用しています。既存の3針モデル『OCW-T200S』と同じものではありません」。
シンプルに、エレガントに
時計の基本機能である“時刻表示”を目的とした3針モデル。必要最小限の要素だけで構成された時計だからこそ、求められるのは個性やデザイン、そして視認性。ある意味、そのブランドの真価が問われているとも言える。
「3針モデルのデザイン性はダイアルが大きく占めるので、Mantaらしさの表現に注力しました」。
OCEANUSの有する海の世界観を演出したというダイアルは、ミラー文字板の裏面に波模様の印刷を2色入れることで動きを与え、最後にベースカラーの透過塗装を加えることで、さざ波がつくり出す水面の情景を表現。
「3針ならではの視認性を考慮し、模様のコントラストを抑えています。見る角度や光の当たり方で見え隠れする、情緒的なテクスチャーを目指しました」。

OCEANUSのデザインを色濃く感じられるブルーの『OCW-S400-2AJF』
そして主役である3本の針を支えるインデックスにもこだわりが。天面に微細な引き目加工、サイドにミラー加工を施す磨き分けをすることで光による視認性を、またセンターに溝を作って蓄光を施すことで夜間の視認性を高めている。
「シャープさや立体感を与えることで存在感を高めながら、上質感を演出することを狙いました。溝蓄光は『OCW-S6000』でも採用していますが、両サイドにミラー斜面を与えているのは、このモデルが初めてです」。
3針タイプのシンプルな表情を見やすく上質に彩る、モダンで情緒的なテクスチャー文字板と、視認性と上質さを両立したインデックスのサイズや仕上げ。こちらもサイズ同様、試作検証を何度もおこない、採用されている。クロノグラフに比べ、パーツが少ない分、細部に至るまでこだわり抜かれているのだ。
個性を映し出す色と輝き
『OCW-S6000』で初めて採用して以来、個性を映し出す表現として欠かせないサファイアガラスベゼル。もちろん『OCW-S400』でも採用されている。
「サファイアガラスと蒸着を組み合わせた表現は、OCEANUSの世界観を色濃く感じていただける手法だと思っています。またサファイアガラス特有の傷のつきづらさは、ベゼル上のカラー蒸着を長く美しく保つことができます。その想いから『OCW-S7000』を開発しましたが、『OCW-S400』も同様に開発しました」。
既存モデルのサファイアガラスベゼルには、クロノグラフを象徴するタキメーターが刻まれていたが、今回は3針モデルとして都市コードを印刷。
「クロノグラフのモデルと同じように、都市コードを文字板見切りに入れてしまうとフェイスのシンプルさを損なってしまうので、ベゼルに入れました。またワールドタイムの機能感を演出したかったという経緯もあります」。

時計の新定番カラーとしてトレンド感のあるグリーンの『OCW-S400-3AJF』
今回の『OCW-S400』には、自分らしさを主張する3色のカラーバリエーションがラインアップ。ブルー、ブラック、グリーンのカラー蒸着をあしらったベゼル上部のサファイアガラスとダイアルを同系色でまとめることで、シンプルな佇まいの中にひときわの個性を放っている。
「クロノグラフと違い、インダイアルリングなどのパーツが無くてシンプルなので、デザイン性とまとまりを考えて、サファイアガラスから文字板に色味が繋がる印象に仕上げています」。
またフェイス以外にも、Mantaイズムを踏襲。センターに一筋のラインが輝くアイコニックなデザインの矢羽根型バンドや、触るとその薄さを実感する極限まで削り込まれたケース、そして先端部を刃物で削ぎ落としたようなシャープなラグなど。チタンカーバイト処理やザラツ研磨による上質な仕上げが施された薄く流麗なケースバンドデザインは、まるで『OCW-S7000』を3針化し小型化させたかのようなスリムでエレガントな造形美を継承しながら、軽快な装着感とともに、腕元にラグジュアリー感をプラスしている。

最後に開発者から、ユーザーや読者の方々へのメッセージをいただいた。
「腕時計は“時間を見る・TPO”といった需要から、“着ける喜び・楽しみ”の需要が強くなっていると感じています。OCEANUSは海が好きな大人の相棒のような存在、着ける方のライフスタイルを彩れるブランドになればと思って商品を開発しています。今回の『OCW-S400』もその想いで開発しました。店頭で自分のスタイルに合うOCEANUSを選んでお試しいただき、楽しんでいただけると幸いです。今年OCEANUSは20周年ですので、これまでの歩み、そしてこれからの意思をお伝えする商品を今後リリースしてまいります。そちらもぜひご期待ください」。
17年の時を経て、満を持して誕生した3針モデル『OCW-S400』。けしてクロノグラフであることのこだわりを捨てたわけではない。ただエレガンスを追求するMantaが、OCEANUSの象徴として革新し続けるために、避けては通れない宿命だったのである。Mantaの新たなる航海が、今ここに始まった。
Text: Tatsuya Nakamura | Photography: Daisuke Taniguchi
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