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History of Blue

オシアナス20年の軌跡

誕生前夜“時計文化への挑戦”

Made in Japanのエレガントなアナログ時計を作りたい。
1990年代にG-SHOCKで一大ブームを巻き起こしたカシオが次に目指したのは、長年培ってきたデジタル技術とアナログを融合させた、“新たな時計ジャンル”の創造であった。一般的にエレガントなアナログ時計はケース・ムーブメント・デザイン、その全てを高次元で融合させているものを指す。ではカシオが考えるエレガントなアナログ時計とは。 2002年、それを定義づけることから「新時計(OCEANUS)開発プロジェクト」はスタートする。ケースやバンドには軽さと、素材としての安定性の高いチタンを使うこと。ムーブメントは“世界中で正確な時刻を取得する=絶対精度”を目指し、G-SHOCKで既に採用されていた標準電波受信機能とタフソーラーを用いること。デザインは「スポーティエレガンス」という独自のエレガント性を追求すること。そしてオン・オフ問わず身に着けることのできること。それは当時、シチュエーションに合わせて時計を着け替えることが一般的であった日本特有の背景に対する挑戦でもあった。

OCEANUSデビュー“Elegance, Technology”

しかし、そもそも金属は電波を遮断してしまう。メタルでありながら充分な受信感度を確保できるまで、試行錯誤を繰り返しながら2年という歳月を費やし、ようやく2004年に世界初のフルメタルクロノグラフ電波ソーラーとして、OCEANUS初号機『OCW-500』が誕生。ちなみにこの1stモデルは、デジタル表示のついたコンビネーションモデルであった。続く2005年の『OCW-600』に5モータードライブを搭載させたことにより、既存のクロノグラフを超える高機能化に成功。これは後のマルチモータードライブによる操作性への革新に繋がっていく。そして2006年、マルチバンド5の『OCW-M700』が登場。世界5局の標準電波に対応することで、電波ソーラーの存在価値をさらに向上させた。またこのモデルで初めてブランドカラーのブルーを大胆に採用し、タイドグラフ(潮の満ち引きを知らせるナビゲーション)を搭載するなど、海との接点をより近くに感じさせることで、大ヒットを記録する。いわばOCEANUSのブランドイメージは、ここから徐々に確立されていった。

左:『OCW-500TDJ-1AJF』 / 中央:『OCW-600TDBJ-1AJF』 / 右:『OCW-M700TCJ-7AJF』

Manta誕生“青の革新”

時計ファンからの認知を広げた翌年2007年、OCEANUSに転機が訪れる。フラッグシップモデル「Manta」の誕生だ。ケース厚10.2mmという当時“世界最薄”を実現した初号機『OCW-S1000』の登場は、エレガンスという価値に大いに寄与することとなる。続く2008年の『OCW-S1200』にはタフムーブメントを初搭載。カシオ独自の耐衝撃技術を投入し、世界6局受信を実現した薄型アナログ電波時計ムーブメントにより、OCEANUSの進化も一気に加速する。2009年の『OCW-S1400』では、新モーターレイアウトによって新たな文字板デザインを実現。鮮やかなブルーを配色することで、OCEANUS=ブルーというイメージがこのモデルによって定着した。さらに多機能の感覚的操作を実現するスマートアクセスを搭載し、初の両面反射防止コーティングサファイアガラスを採用した2011年の『OCW-S2000』。腕時計にはあまり採用されていないスパッタリングでオシアナスブルーを施し、2都市の時刻を同時表示するデュアルタイムの搭載でワールドタイムを革新した2012年の『OCW-S2400』と、薄さ・文字板デザイン・曲線美・ブルーの表現方法などによって、新たな可能性を広げていく。そして2013年、当時“世界最小”モーターの開発により、初の6モータードライブ搭載を実現した『OCW-S3000』の登場で多機能と使いやすさを両立させ、電波ソーラーにおける到達点に達したのである。

左:Manta『OCW-S1000J-1AJF』 / 中央:Manta『OCW-S2400B-1AJF』 / 右:Manta『OCW-S3000-1AJF』

21世紀のアナログ時計“OCEANUS、絶対領域へ”

誕生より10年。電波ソーラーとしての地位を確立したOCEANUSが、次に目指したものはさらなる時刻精度の追求であった。2014年に世界初のフルメタルGPSハイブリッド電波ソーラー『OCW-G1000』が誕生。それまでGPS電波受信機能を単体で持つ時計は他にあったが、そこに標準電波受信機能を併せ持つことで、世界規模の信頼性を得たクロノグラフへと昇華させたのだ。その進化は止まることを知らず、2017年にOCEANUSは、ひとつの完成形に到達する。世界初のBluetooth®搭載GPS電波ソーラー『OCW-G2000C』。電波受信機能による時計単体での時刻修正に加え、Bluetooth®通信を利用したスマートフォンリンクによる3つの時刻修正システムを自在に組み合わせ、最新のタイムゾーン、サマータイム情報を反映した正確な時刻表示を世界中のあらゆる場所で取得することが可能となった。つまりそれは世界屈指の精度を誇る時計であることを意味していた。そして2018年、Bluetooth®搭載電波ソーラー『OCW-S4000C』の登場によって、これまで電波ソーラーであったMantaが、大きな変貌を遂げる。絶対条件である美しいフォルムを形成するための薄さを満たし、スマートフォンリンク機能を搭載しながらも革新のスリムスタイルを実現。後にこの時刻修正システムは他のシリーズでも採用され、現在OCEANUSの主流となっている。ちなみにブランド全体としてBluetooth®機能を全面に打ち出したメタルアナログ時計は他に類を見ず、OCEANUSが“現代のアナログ時計”と称される所以なのかもしれない。

左:GPSハイブリッド電波ソーラー『OCW-G1000-1AJF』 / 中央:Bluetooth®搭載GPS電波ソーラー『OCW-G2000C-1AJF』 / 右:Bluetooth®搭載電波ソーラー・Manta『OCW-S4000C-1AJF』

OCEANUS新章“エレガンス再構築”

2019年に15年目を迎え、OCEANUSがさらなるエレガンスの追求として挑んだのは、伝統と革新の融合。前述の『OCW-S4000C』でベゼルに江戸切子を採用したことに始まり、阿波藍、蒔絵という伝統工芸と次々にコラボレーションを実現。“都会的・青・海”というOCEANUSのアイデンティティを時計に込めて、新たな美しさを提示するために用いられた伝統技法や匠の技。その美しさを長く保てる耐久性や時計としての安定した品質に落とし込むため、高度な最新技術によって独自の製法や新構造を開発したOCEANUS。まさに伝統工芸と先進テクノロジーを繋ぐことで革新させた、2つのジャパンプライドによるモノづくりの真髄。これを機にOCEANUSは、これまでの固定概念を覆し、もはや単なるプロダクトという枠に収まらない表現領域へと移行し始めていく。
その皮切りとなるのが、マリンスポーツに役立つ機能や性能を備えたスポーティライン「CACHALOT」から2020年に誕生した『OCW-P2000』だ。OCEANUS初の本格ダイバーズウオッチとして、ISO規格200m防水を実現。逆回転防止機構付きのサファイアレジスターリングやLEDライトのスーパーイルミネーターなど海に特化した機能を備え、プロフェッショナルダイバーの要求に応える逸品として強い印象を残した。2021年には実用機能を搭載したスタンダードモデル「Classic Line」から、角形デザインを採用した『OCW-T5000』が登場。それまで一貫して丸型ケースであったOCEANUSにおいて、このスクエアモデルのデビューは当時センセーションを巻き起こし、ビジネスシーンからプライベートまで幅広く活躍できるデザインとして高く評価された。そして今年。常に最先端のテクノロジーを搭載したクロノグラフとしてOCEANUSを象徴してきたMantaから、シリーズ初の3針モデル『OCW-S400』が満を持してリリースされた。スリムでエレガントな造形美を継承しつつ、シンプルなダイアルとコンパクトサイズで、美しさと高い視認性を実現した3針仕様のMantaは、フラッグシップとしての新たな可能性を指し示すものとなった。コロナ禍を経て、時間という概念が新たな価値を持ち始めた昨今、個性溢れる数々のモデルを通じ、OCEANUSは“ライフスタイルウオッチ”という新しい時計の在り⽅を提案し続けているのだ。

左:CACHALOT『OCW-P2000-1AJF』 / 中央:Classic Line『OCW-T5000-1AJF』 / 右:Manta『OCW-S400-2AJF』

OCEANUS 20周年“海が紡ぐ青の物語”

ブランド誕生からブルーという色にこだわり、それを技術進化によって表現してきたOCEANUSが20年という節目を迎えた今、これまでの集大成とも言うべき記念モデルが完成した。テーマは、OCEANUSのルーツとも言える“海”の情景。紺碧の大海原を彷彿させる新色のブルーを施した白蝶貝ダイアルのManta『OCW-S7000BV』は、20周年にちなみ20面カットしたサファイアガラスにブルーからブラックへと変化する新開発のグラデーション蒸着を施し、海を想起させるベゼルデザインを実現。シリーズ初となる12面体の多角形ベゼルを採用したClassic Line『OCW-T6000BV』は、ライトブルーの文字板に波をイメージしたテクスチャーを施し、光の中で柔らかい表情を見せる海を表現。20年の探究と挑戦をさまざまな青を創り出す“海”に見立てた、まさに「KING OF BLUE」の称号に相応しいアニバーサリーモデルである。

左:Manta『OCW-S7000BV-2AJR』 / 右:Classic Line『OCW-T6000BV-2AJR』

時計専業メーカーではないカシオだからこそできる、時計づくりの常識に囚われない冒険心と遊び心から生まれたOCEANUS。20年という歳月を経て、世界を牽引する先進技術とデザインで、時計業界における新たなスタンダードを築き上げた。これからもその象徴であるブルーとともに時代を超えた価値を持つ時計を創り続け、多くの人に着ける喜び、楽しみを与えてくれることであろう。さらなる進化と革新を繰り返しながら、新たなステージに挑み続けるOCEANUSの未来に期待が高まるばかりだ。

Text: Tatsuya Nakamura | Photography: Daisuke Taniguchi

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