
Zero to One
カシオウオッチ50周年記念モデル
“時間は1秒1秒の足し算である”
その発想から生まれたカシオウオッチ。
遡ること50年前、社名に代表される計算機=電卓事業で培ったLSI技術を最大限に活用することで、デジタルウオッチ分野に新規参入したカシオ。時・分・秒はもちろん、月・日・曜日まで常に正確に表示する「完全自動腕時計」という開発思想を掲げ、大の月・小の月を自動的に判別するオートカレンダー機能を世界で初搭載した、カシオウオッチ第一号『カシオトロン』を誕生させた。
以来、腕時計の常識を覆したタフネスウオッチ『G-SHOCK』やスマートウオッチの先駆けとも言える『データバンク』、そして世界初のフルメタル電波ソーラークロノグラフ『OCEANUS』などを次々と生み出し、半世紀に渡り、独創と革新を求め挑戦し続けることで時計の限界を押し広げてきた実績は、世界に誇るべきものと言えるだろう。
そんなカシオウオッチが今回50周年を迎えたことを記念し、各ブランドを横断したアニバーサリーモデル第二弾が発売されることとなった。同じく20周年を迎えたOCEANUSとのダブルアニバーサリーという節目で誕生したNEWモデル、そしてその技術進化とはいかに。
宇宙技術が導いた、新たな時の扉
ソーラー充電システム、電波受信機能、スマートフォンリンクなど、腕時計の進化を加速させてきたテクノロジーの背景にあるのは、カシオの“0から1を生み出す、ものづくりの精神”。その精神をテーマに掲げ、アナログ時計の進化を体現する特別な存在として50年の時を経て誕生したのが、今回の限定モデル『OCW-SG1000ZE』だ。

『OCW-SG1000ZE-1AJR』 ¥550,000(税込)世界限定350本 シリアルナンバー入り
その核心にあるのが、カシオ独自のソーラー充電システムのタフソーラーをさらに進化させた新たなソーラーモジュール“ガリウムタフソーラー”の搭載と言っても過言でないだろう。近年先端半導体素材として注目されているガリウム化合物を基盤材料とし、JAXAの小型月着陸実証機「SLIM」にも採用された太陽電池技術を応用することで、腕時計という限られたスペースに見事に実装することに成功。これにより宇宙環境に適した信頼性に加え、従来のソーラーと比べて発電効率が約2〜5倍と飛躍的に向上。日付表示のわずかな隙間に差し込む光のみで発電し、電波受信などの各種機能を安定駆動させることが可能となった。さらにソーラーセルのサイズも大幅に小型化でき、OCEANUSの次なる舞台へと向けた進化の道標となっている。

ガリウムタフソーラーによる独創的なモジュール構成
革新を体現する新たなフェイスデザイン
時計デザインの新たな可能性を追求した結果、これまでにない次元へと昇華したフェイスデザインが誕生した『OCW-SG1000ZE』。従来の半透過ポリカーボネートから進化し、ガリウムタフソーラーの特性を活かした金属素材を採用したことで、上質さと立体的で複雑な造形の文字板を実現。また金属を肉抜き加工した日車(Date disc)を開発搭載するなど、全てのこだわりを集約させることで、機能性と美しさを両立させた次世代のフェイスデザインが完成したのだ。

そしてカラーリングも特筆すべき要素である。限りなく黒に近いミッドナイトブルーとゴールドの組み合わせは、カシオが追求する「はじまりの灯火」を象徴し、OCEANUSの探求してきた青の深遠さとも絶妙に絡み合うことで、その存在感を際立たせている。この巧みな色彩設計に加え、日車に施されたブルーパープルのグラデーション蒸着や4時位置下のカレンダー窓など随所にあしらわれたゴールドが、時計全体に独特の華やかさと奥行きをもたらしている。
その美しさを極めたデザインの中でも、48面にカットされたサファイアガラスベゼルは目を惹く存在だ。サファイアの側面に施されたファセットカットが、光の当たる角度によって繊細に表情を変え、オシアナスブルーの輝きを柔らかく浮かび上がらせる。この輝きを引き立てるのが、ブラック蒸着をベースにブルースパッタリングを何層にも重ねた技術だ。角度や光の加減で浮かび上がるその青は、時計全体に静謐さと力強さを同時に感じさせてくれる。
美しさを引き立てる匠の技術
美しさはフェイスデザインだけにとどまらない。チタン素材にDLCコーティングを施し、素材表面の耐摩耗性を向上。美しいブラックの発色も際立つその技術が、このモデルにも惜しみなく使われている。さらに鏡面部分にはザラツ研磨が施され、平滑度の高い仕上げを実現するなど、耐久性と美しさを両立。これらのディテールこそ、OCEANUSが追求する革新と美が融合した一つの完成形なのである。

またカシオウオッチ50周年記念モデルとして、裏蓋には「50th ANNIVERSARY」の文字とシリアルナンバーが刻印されており、限定350本という希少性を強調。さらに長年のカシオのものづくりの精神を表す「0」と「1」の数字も刻まれ、特別な意味を持たせているあたりはさすが隙がない。
0から1、そしてその先へ。限界を超え、常識を超え、想像を超え、止まることなく進み続けることで、確かな進化を刻んできたカシオウオッチ。未来を見据えた新たな技術が過去の革新と融合し、時を超える価値を持つ時計として生まれ変わる。OCEANUSにとって、今回の節目が新時代の扉を開くきっかけとなり、時計の新たな可能性を広げていくに違いない。

Text: Tatsuya Nakamura | Photography: Tsukasa Nakagawa
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