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Black Manta “CALM NIGHT”

月夜の海を描く江戸切子サファイアガラスベゼル

“時の美”の象徴としてMantaのフェイスラインを描き出す、サファイアガラスベゼル。その色彩と造形が織りなす透明感あふれる魅力については、前回のBLUE MOTIONSでも紹介したが、このベゼルの着想源とも言える“江戸切子”を新たな手法で表現したNEWモデル『OCW-S7000CN』が、このたび発売される。
2018年の“伝統”と“革新”の運命的な出会いから、実に6度目を迎える江戸切子とのコラボレーション。これまでの色鮮やかで華やかな印象から一転、今回は「CALM NIGHT」をコンセプトに、“月の光に照らされた夜の静かな海”をイメージしたシックなオールブラックに仕上げられている。

OCW-S7000CN-1A

Manta『OCW-S7000CN-1AJF』 ¥308,000(税込)世界限定1,600本

静寂を纏う、月光のエレガンス

ベゼルを監修したのはもちろん、歴代のコラボレーションモデルを全て手掛けてきた江戸切子職人の堀口徹氏。日本の伝統工芸士として伝統的な手法や様式を継承しながらも、斬新で現代的なものづくりを信条とする堀口氏が自ら意匠を監修し、さらにこだわった新しいカットに挑んでいる。
まず3時から9時のセンターラインを空と海の境界線に見立て、ベゼルリングの上半分(12時側)をフラットに、下半分(6時側)を多面体に仕上げて形状に変化を持たせることで、微細な光の加減を巧みに表現。そして裏面から江戸切子の伝統文様「千筋」を施したカッティングには、“夜空に輝く月明かり”と“海面に反射する月の光”という、二つの異なる光の印象を与える工夫が凝らされている。上半分は放射状に16本を刻み、柔らかく淡い光を描き出す。一方、下半分は水平に12本が刻まれ、海面の煌めきをそのまま映し出すかのようである。
手作業で刻まれた繊細で精密なカッティングは、透明感のあるサファイアガラスを通してさらにその美しさを引き立て、一筋一筋のラインがまるで生きているかのように感じられる。まさに堀口氏の匠の技と、どこか幻想的で詩的な感性が息づいているのだ。

OCW-S7000CN-1A アップ

江戸切子が描く月光の陰影。その幽玄の世界を包み込むのは、静寂な夜の海を映したモノトーンの色彩。切子加工が施されたベゼルリングにシルバー蒸着をおこなった後、裏面の上からブラック、下からシルバーのグラデーション蒸着を施すことで、透明感の中に深みと輝きを生み出している。また蒸着処理の特性を応用し、成膜時に光の屈折率を緻密にコントロールすることで、青みを帯びた反射光を実現。見る角度によってさりげなく現れるオシアナスブルーの輝きは、海との深い繋がりを象徴するOCEANUSならではのこだわりの演出である。

月影を映すテクスチャーダイアル

そして時計のフェイスを司る文字板にも、新たな試みが見受けられる。
“月夜の海”の静謐な光を纏ったベゼルの内側で、文字板はその情景の中心を担う“月”という存在自体を表現している。そこに浮かぶのは、月面の凹凸や陰影を思わせるテクスチャー。カシオが誇る精密な金型加工技術によって新規開発された金型を採用し、微細なデザインを立体的に成形。その梨地調のマットな質感は、まるで静かに夜空に佇む満月の優美な表情を切り取ったかのようだ。
文字板内に配された3つのインダイアルは、クロノグラフとしての機能性を備えつつ、月の表情をより一層引き立てるアクセントとなっている。
またダイアル素材には、全面透過型のポリカーボネートを採用。発電効率に優れた遮光分散型ソーラーを組み合わせ、裏面からブラック塗装することで、深みのあるマットブラックの表現を可能にした。光を透過しながらも、その奥に静かに潜む黒。そこには、夜空に浮かぶ月が秘めた神秘的な美しさが宿っている。

OCW-S7000CN-1A アップ

Mantaの洗練されたモダンデザインを支えるケースとバンドも、今回のコンセプトに合わせてオールブラックで統一した“Black Manta”仕様となっている。軽量で耐久性が高いチタン素材に、ダイアモンドに次ぐ強度を誇るDLCコーティングを施し、優れた耐摩耗性と艶やかな発色を実現。さらに職人が丁寧に磨き上げたザラツ研磨の上質な仕上げなど、“夜の凪いだ海”ように精悍な黒の外装は、美しい質感と機能性を兼ね備え、纏う人を魅了する。

精緻なカッティングと独創の色彩表現による江戸切子サファイアガラスベゼル。エレガンスを追い求め、伝統と革新が交差して7年。ともに切磋琢磨することで円熟味を増したその意匠美は、唯一無二の存在として、ものづくりのこだわりを具現化させた。匠の技と先端テクノロジーが紡ぐ“時の美”の物語は、未来へと受け継がれていくことであろう。

OCW-S400RA-3AJF クローズアップ

Text: Tatsuya Nakamura | Photography: Daisuke Taniguchi

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