Blue in Motion
動き続ける青の新しい表情
OCEANUSという名に内包されている、海という存在。空を映し、光を受け、刻一刻と表情を変えていくその色を、私たちは“青”と呼ぶ。同様に、私たちが感じる時間も、ただ均等に流れているわけではない。環境や光、その瞬間の視点によって、同じ時間であっても、常に異なる表情を見せる。OCEANUSがブランドの象徴として掲げる“青”は、そうした海の在り方と重なる時間の姿。“正確であること”を核に据えながら、その感覚を色や造形、そしてダイアルの表情で可視化してきた。高精度という揺るがない基準があるからこそ、“変化する美しさ”はより鮮明に浮かび上がるのだ。
そんな動き続ける“青”をさらに研ぎ澄まし、新たな表情として結実させたモデルが、この度発売された。Mantaシリーズの最新作『OCW-S7000F』である。
Manta『OCW-S7000F-2A』
配色反転という選択
まずこのNEWモデルを語る前に、2024年に発売された『OCW-S7000D』の話から始める必要があるだろう。S7000シリーズ初のインダイアルソーラーを搭載したそのモデルは、3つのインダイアル部分のみで充電量を確保することで文字板デザインの自由度を高め、ホワイト×ブルーのコントラストカラーを実現。鮮やかなホワイトの美しさが際立つメインダイアルの中で、インダイアルに配したブルーが視線のアクセントとして機能し、全体に端正なリズムを与えている。青を“差し色”として扱うことで、OCEANUSらしい知性と品格を表現した『OCW-S7000D』は、発売以来、最も支持されたモデルとして絶大な人気を誇っている。
対する今回の『OCW-S7000F』は、『OCW-S7000D』が描いたツートンカラーの世界を、配色反転というアプローチで再構築。“白”へのこだわりはそのままにインダイアルを美しいホワイトに仕上げるため、インダイアルソーラーの発想を反転させて、ソーラーセルをインダイアル部以外のメインダイアルに入れ替えているのだ。この配色反転は、けして『OCW-S7000D』の否定ではない。むしろ、その完成されたバランスを受け継いだ上で、「青をどう動かすか」という問いに対する、ひとつの答えと言えるだろう。青を“主役”に据えることで、視線の流れは大きく変わる。サファイアガラスベゼルと調和するブルーは、光を受けるたびに表情を変え、見る者の視点を自然と動かす。そこに凛とした表情を湛えるホワイトのインダイアルが加わることで、リズムと奥行きが生まれ、青の変化はより際立つものとなった。
静的な美しさから、動的な美しさへ。『OCW-S7000F』は、青のあり方を一段階先へと進めている。青を“主役”にするということは、常に変化を引き受けるということでもある。光の角度、腕の動き、周囲の環境。そのすべてが、ダイアルの印象を変えていく。配色反転という選択は、そうした“動き”をデザインとして引き出すための、必然だったのである。
造形と精度が導く、青の鼓動
『OCW-S7000F』のブルーがこれほどまでに雄弁なのは、単に色が美しいからではない。その背景には、Mantaシリーズならではの造形思想がある。フラットで薄く、無駄を削ぎ落としたケースライン。エッジは鋭く、面は広く、光を受け止めるための“余白”が計算されている。そして、その造形美を最前線で受け止めているのが、サファイアガラスベゼルだ。透明感を持つサファイアは、色と光をそのまま受け入れ、反射と透過を同時に生み出す存在。『OCW-S7000F』では、ダイアルのブルーと呼応するサファイアガラスベゼルが、光の角度によって青の濃淡を変えながら、Mantaのシャープなフォルムを際立たせている。チタン外装との相性も見逃せない。軽量でありながら高い耐摩耗性を備えたチタンは、OCEANUSの掲げる“軽やかな強さ”を体現する素材。そのクールな質感に、ガラス特有の艶と深みのあるブルーが重なることで、時計全体に張り詰めた緊張感と、どこか静かな余裕が同時に宿る。金属、ガラス、そして色。それぞれ異なる素材が交差することで、『OCW-S7000F』のMantaフォルムは、より立体的に、より鮮明に浮かび上がる。
色が前に出ることで、造形が引き締まる。サファイアガラスベゼルという“境界”を得て、『OCW-S7000F』は青と造形の関係性を、ひとつ先の次元へと押し上げた。
OCEANUSの根幹にあるもの。それは、言うまでもなく高精度ムーブメントだ。時間は正確でなければならない。その思想は、どのモデルにおいても一切揺らぐことがない。『OCW-S7000F』もまた、その例外ではない。Bluetooth®搭載電波ソーラーを中核に、タフソーラーに支えられた精度は、常に静かで安定している。そこには、見る者の感情を揺さぶるような派手さはない。だが、その“変わらなさ”こそが、OCEANUSにおける絶対的な価値基準だ。だからこそ、ダイアル上で起こる色彩の変化が、より際立つ。時間そのものは動かない。しかし時間を見る体験は、確実に動いている。光の角度によって青が深まり、腕を動かすたびに印象が変わる。そのすべてを、揺るがない精度が静かに支えている。
静と動。変わらない核心と、変わり続ける表情。そのコントラストこそが、OCEANUSらしさであり、『OCW-S7000F』が体現する美学なのだ。
青は、これからも動き続ける
なぜOCEANUSは、これほどまでに“青”を更新し続けるのか。それは、青が完成しない色だからだろう。海と同じように、光と視点によって無限に表情を変える。その不確かさこそが、時間という概念と深く結びついている。『OCW-S7000F』の誕生は、ひとつの答えであると同時に、次の問いでもある。配色反転という選択によって、青は主役となり、動きを引き受けた。固定された美しさから、時間とともに変化する美しさへ。その一歩は、OCEANUSの“次の青”を確かに指し示している。
正確であること。そして、変化を楽しむこと。その両立こそが、OCEANUSが長く追い求めてきた理想だ。青は、止まらない。時間とともに、これからも動き続ける。
Text: Tatsuya Nakamura | Photography: Daisuke Taniguchi
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