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ブルーモーション6月号 メインビジュアル

Indigo Ocean Vol.3

New阿波藍モデル ── 青の未来図

OCEANUSにとって“青”は、ブランドの象徴であると同時に、ものづくりの原点でもある。海と空が織りなす無限の表情。その移ろいゆく美しさを腕時計の中で表現するために、OCEANUSは長年にわたり素材や加工技術、色彩表現を追求してきた。その探求の先で出会ったのが、日本に古くから受け継がれてきた阿波藍だった。自然が生み出す深い色合いと豊かな階調。そしてひとつとして同じ表情のない唯一無二の青。その魅力はOCEANUSの思想と響き合い、これまで数々のモデルを彩ってきた。しかし今回の挑戦は、単に新しい青を加えることではなかった。藍をひとつの“表現手法”として捉え直し、OCEANUSが描く“青”そのものを見つめ直すこと。すなわち、ブランドが追求してきた青の可能性をさらに押し広げるための試みだった。

そんなNew阿波藍プロジェクトを全3回にわたって特集しているBLUE MOTIONS。前号では、5月に発売された『OCW-S7000AP』と『OCW-T2600AP』を通じて、阿波藍が生み出す豊かな色彩表現と奥行きのある文字板デザインに迫った。そして連載の最終回となる今号で取り上げるのは、今月発売のManta『OCW-S6000AP』。文字板に宿る藍の表情はもちろん、躍動する海を思わせる大胆な造形表現によって、プロジェクトが目指した世界観を体現した特別なモデルである。その一本に込められた思想と技術を紐解きながら、OCEANUSが描く“青の未来図”を見つめていきたい。

海の記憶を宿した阿波藍文字板

Manta『OCW-S6000AP』

Manta『OCW-S6000AP』

『OCW-S6000AP』の文字板には、先に登場した2モデルと同じく二層構造のダイアルを採用。上文字板には、深みのあるブラックダイアルをベースに、波をモチーフとしたテクスチャーをクリア印刷で施した。光の当たり方によってさりげなく浮かび上がるその表情は、穏やかな海面の揺らぎを思わせる。さらに下文字板に配された3つのインダイアルには、阿波藍で染め上げたマルチカラーの白蝶貝を採用。天然素材ならではの豊かな色彩と繊細な輝きが重なり合い、一つひとつ異なる表情を生み出している。濃淡の異なる藍色と白蝶貝のまだら模様が溶け合い、静かに移ろう海景を思わせる表現は、今回のNew阿波藍モデルに共通する大きな魅力と言えるだろう。

しかし『OCW-S6000AP』の見どころは、それだけではない。本作では文字板の中にとどまらず、時計全体へと青の表現を拡張。なかでも大きな存在感を放つベゼルには、OCEANUSが追求する新たな青の世界観が込められている。

青を彫刻するスパイラルカットベゼル

OCW-S6000AP アップ

『OCW-S6000AP』を象徴する最大の特徴が、新たにデザインされたサファイアガラスベゼルである。文字板における静的な藍の表現とは対照的に、よりダイナミックな青の表情を描き出すために設計されたパートだ。約3.1mmという厚みを持つサファイアガラスリングによって確かな存在感を備える「OCW-S6000」をベースに、本作ではさらに約3.6mmへとボリュームを高めることで、これまでにない立体的な造形表現を実現している。そのベゼルには、OCEANUS独自のスパイラルカットを施したサファイアガラスベゼルを採用。まず輪郭をファセットカットで外形12面・斜面12面による24面の多角形状に形成し、その天面に曲面状のうねりを加えたスパイラルカットを重ねている。合計48面にもおよぶ精緻なカットが、複雑な光の反射を生み出す。光を受けるたびに刻々と表情を変えるその姿は、太陽の光を受けてきらめく海面のよう。静かな波の揺らぎを表現した文字板に対し、ベゼルではより力強く躍動する海のエネルギーが表現されている。そして仕上げには、ブルーグラデーション蒸着を採用。見る角度や光の加減によって青の濃淡が移ろい、サファイアガラスならではの透明感と相まって奥行きある表情を見せる。高度な加工技術によって生まれた複雑な造形と、絶えず変化する青の輝き。その融合によって完成したベゼルは、New阿波藍プロジェクトが追求した“青の再定義”を象徴する存在と言えるだろう。

ブルーの美学を貫いた外装表現

OCW-S6000AP アップ

『OCW-S6000AP』では、文字板やベゼルにおける阿波藍とブルーの表現に呼応するかたちで、外装にも多彩なブルーが与えられている。軽量で錆に強いチタン素材を使用したケースとバンドには、対傷性に優れたブルーAIP処理を施し、深みのある発色と高い耐久性を両立。青みを帯びたダークカラーが光の当たり方によって表情をわずかに変えながら、落ち着いた存在感を保ち続ける。さらに、りゅうずとボタンにはブルーグレーIPを採用。メインとなるブルーとはわずかにトーンを変えることで、全体の印象に繊細なコントラストを生み出している。加えてボタンパイプにはブルーIPを施し、細部に至るまで青のグラデーションが途切れることなく連なっていく構成とした。こうした異なるトーンのブルーをパーツごとに緻密に配分することで、文字板の阿波藍マルチカラーとベゼルのグラデーション表現が自然に響き合い、時計全体として統一された“青の世界観”を形成している。

青がたどり着いたひとつの答え

色彩と造形、そして細部に至るまで、特別な仕様が与えられた限定モデル『OCW-S6000AP』。世界限定700本という希少性を示す証として、裏面にはシリアルナンバーを刻印。個体ごとに異なる番号が、所有する歓びをより特別なものにしてくれる。さらに本モデルには、専用デザインの化粧箱を用意。阿波藍を想起させる深いブルーを基調としたパッケージは、時計本体と呼応するかのように世界観を統一し、開封の瞬間から“青の物語”へと誘う構成となっている。プロダクトとしての完成度だけでなく、所有体験においても特別な価値を与えるこれらの仕様は、『OCW-S6000AP』が単なる限定モデルではなく、ひとつの表現作品であることを物語っている。

4月から6月にかけて展開してきたNew阿波藍モデルの特集は、それぞれが異なるかたちで“青”というテーマに向き合ってきた。文字板においては、静かに揺らぐ藍の階調を通じて、時間の中に潜む繊細な表情を描き出し、ベゼルでは光と造形が交錯するダイナミズムによって、青の持つ力強さを解き放った。そして『OCW-S6000AP』では、それらを時計全体へと拡張し、ひとつの完成された世界観へと結実させている。そこに共通しているのは、藍を単なる色彩ではなく、“青を再定義するための表現手法”として捉え直したことにある。自然が生み出す揺らぎと、緻密な加工技術が融合することで、OCEANUSが描く“青”は新たな次元へと踏み出した。そしてこの3ヶ月で示されたのは、ひとつの完成形ではなく、青という概念そのものがまだ進化し続ける存在であるということだ。その先に広がるのは、まだ誰も見たことのない“青の未来図”である。

OCW-S6000AP

Text: Tatsuya Nakamura | Photography: Daisuke Taniguchi

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