The Color of Time
時間を映す、海の藍
忙しい毎日を過ごしていると、一日は驚くほど早く過ぎていく。時計を見ることはあっても、その一日に流れている時間を感じることは案外少ない。次の予定へ向かうために時刻を確かめ、数字を追いかけるうちに、風の匂いや空の色、光の移ろいはいつの間にか意識の外へと置かれてしまう。だから人は、ときどき海へ向かいたくなるのかもしれない。
Manta『OCW-S7000AP』
目指したのは南の島。夕方までのデイトリップ。そこには時刻表も締め切りもなく、時間を急がせるものは何ひとつない。潮風が吹き、波は寄せては返し、雲はゆっくりと流れていく。海は、一秒ごとに劇的な変化を見せるわけではない。その青には、一色では語れない深さがある。朝の澄んだ青は、陽が高くなるにつれて生命力に満ちた青へと変わり、やがて夕暮れには深く静かな藍を湛えていく。その繊細な移ろいは、言葉よりも雄弁に、一日の流れを映し出している。時間とは、本来こうして積み重なっていくものだった。そのことを、海は静かに思い出させてくれる。
波をイメージしたテクスチャーダイアルを採用した『OCW-S7000AP』。光を受けてさりげなく表情を変える海面のようなダイアルに、阿波藍のインダイアルが澄んだ青を湛え、穏やかな海の表情を宿す。
“海の時間”を閉じ込めた時計
Classic Line『OCW-T2600AP』
OCEANUSの阿波藍モデルもまた、その移ろいに着想を得て生まれた。白蝶貝をあしらったインダイアルに重ねられた三つの藍。古来より受け継がれてきた阿波藍の豊かな表情を用いながら、海が見せる光と色の変化を描き出している。腕元へ視線を落とすたび、その青は周囲の光を映し、異なる表情を見せる。それは、時間がただ過ぎ去るものではなく、その瞬間の景色や記憶とともにあることを教えてくれる。
ベゼルに新色のネイビーIP、文字板見切り部にブルーグラデーションを採用した『OCW-T2600AP』。文字板中心から滲むように広がる青は、浅瀬から沖へ向かうほど深みを増す海景を映し出す。
海辺では、不思議と時刻を気にすることが少なくなる。それでも、時間は確かに流れている。風は少しずつ涼しさを帯び、砂浜に伸びる影はゆっくりと長くなる。水平線の向こうで陽が傾き始めた頃、不意に腕元へ目が向く。 もう、こんな時間だったか。 そう思った瞬間、時間は数字ではなく、その日一日の余韻として心に残る。
Manta『OCW-S6000AP』
少しだけ名残惜しい。けれど、なぜか帰りたくもなっている。人の流れ、交差点、高層ビルに反射する夕陽。海とは違う景色の中にも、確かに自分の時間が流れている。海が特別なのは、そこへ逃げるためではない。いつもの毎日に戻ったとき、その時間を少しだけ大切に思えるようになるからだ。時間の価値そのものを変えてくれた海に別れを告げ、歩き始める帰り道。その足取りは軽かった。
OCEANUS独自のスパイラルカットを施したサファイアガラスベゼルを採用した『OCW-S6000AP』。夕陽を浴びて奥行きを増す青の濃淡が、海が夕景へと溶け込むような幻想的な表情を描き出す。
時間を忘れるためではなく、時間を取り戻すために海へ行く。そして腕元には、その日の海を映した藍がある。ふと時計を見るたび、あの日の風の匂い、波の音、肌を照らした陽射し、そして幾重もの青が静かによみがえる。OCEANUSが刻むのは、時刻だけではない。人生の中で本当に大切にしたい時間、そのものなのかもしれない。
Text: Tatsuya Nakamura | Photography: Tsukasa Nakagawa
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